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イヤホンのドライバーは、音を出す部品のことです。方式は大きく分けてダイナミック・BA(バランスド・アーマチュア)・平面駆動・静電型の4つで、これを組み合わせたものをハイブリッドと呼びます。DTM のモニターに使うなら、まずダイナミック1基の機種から選びます。

POINT
この記事のポイント
  • ダイナミックは1基で低音から高音まで出せる。BA は小さいので何基も積んで帯域を分ける
  • ドライバーが複数あると、帯域の重なるところで位相がずれる。Sennheiser は IE 900 をダイナミック1基にした理由にこれを挙げています
  • 口径は大きいほど良いわけではありません。IE 900 の口径は 7mm です

4つの方式の違い

方式 得意なこと 弱いところ
ダイナミック 1基で低音から高音まで出せる 部品が大きく、何基も積みにくい
BA 部品が小さく、帯域ごとに分けて積める 低・中・高を出すには複数要る
平面駆動 膜全体が動くので歪みが少ない 磁石が大きく、本体が大きくなりやすい
静電型(EST) 超高音の伸び 単体では使われず、ハイブリッドの高域担当
ダイナミック信号NS磁石コイル振動板音コイルに電気が流れると、振動板ごと前後に動く1基で低音から高音まで出せるBA(バランスド・アーマチュア)信号振動板コイル磁石棒鉄片音鉄片の振動を棒で振動板に伝える小さいので何基も積み、帯域を分けて担当させる平面駆動信号磁石磁石回路を印刷した膜音膜の全面に電気を流し、磁石の間で膜ごと動かす面全体が均一に動くので歪みが少ない静電型(EST)信号電極電極とても薄い膜高電圧音2枚の電極で膜を静電気で引っぱる高い音が得意。イヤホンでは高域担当に使う
4つの方式は、振動板をどう動かすかが違う

ダイナミックでは、振動板にコイルが付いています。コイルに電気が流れると磁石との間で力が生まれ、振動板ごと前後に動きます。スピーカーと同じ仕組みです。

BA は、もともと補聴器に使われていた方式です。コイルの中を通る小さな鉄片(アーマチュア)が磁石の間で振れ、その動きを細い棒で振動板に伝えます。audio-technica の ATH-E70 は低・中・高に1基ずつ、計3基を積んでいます。

平面駆動は、回路を印刷した薄い膜を磁石で挟み、膜の全面に電気を流して動かします。ヘッドホンでは能率が低くアンプを選ぶと言われてきました。ただ、イヤホンの Kiwi Ears Aether は 105dB/mW で、ダイナミックの Shure SE215(107dB/mW)とほとんど変わりません。

静電型は、2枚の電極の間に置いた膜を静電気で動かします。

ハイブリッドは帯域を分けて担当させる

ハイブリッドの帯域分担(イメージ)クロスオーバー(ネットワーク)で帯域を振り分けるダイナミック低音BA中音・高音静電型(EST)超高音20Hz200Hz2kHz20kHz境目の周波数は機種ごとに違う
どの方式にどの帯域を任せるかは機種ごとに違う

ハイブリッドは、方式の違うドライバーを1本に入れたものです。いちばん多いのは、低音をダイナミック、中音から上を BA に任せる組み合わせです。Shure の AONIC 4 はダイナミック1基と BA1基で、この形のもっとも単純な例です。ダイナミック・BA・静電型の3方式を積んだものはトライブリッドと呼ばれます。

帯域を分けるには、クロスオーバー(ネットワーク)という回路で信号を振り分けます。境目では2つのドライバーが同じ音を出すので、位相がずれやすくなります。

DTM のモニターにはダイナミック1基から

Sennheiser は IE 900 の公式製品ページで、ダイナミック1基にした理由を挙げています。マルチドライバーでは帯域の重なるところで位相がずれ、それが歪みになる、というものです。

ミックスで定位や音の芯を判断するときは、このずれが無いほうが楽です。1本目のモニターなら、ダイナミック1基の IE 100 PRO か MDR-EX800ST を選んでおけば、たぶん失敗しません。BA の多ドライバーやハイブリッドは2本目の候補です。ステージのモニターに使う人や、細かい音を聴き分けたい人に向いています。

ドライバーは大きいほうがいい?

ドライバーの口径(メーカー公表値)長いほど口径が大きいIE 900ダイナミック7mmIE 100 PROダイナミック10mmATH-E40ダイナミック ×212.5mmAether平面駆動15.3mmMDR-EX800STダイナミック16mmEuclid平面駆動18mmいちばん小さい 7mm の IE 900 は、IE 100 PRO の10倍以上の価格
口径は 7〜18mm。平面駆動は大きめ

口径で音の良し悪しは決まりません。Sennheiser の IE 900 は 7mm で、上の6機種でいちばん小さいドライバーです。それでも値段は、同じ Sennheiser の IE 100 PRO(10mm)の10倍以上です。

平面駆動は 15〜18mm と口径が大きめです。耳の小さい人は装着感を確かめたほうが安心です。

方式別の代表機種

モニター用途のほかの機種は モニタリングイヤホン完全ガイド で比べています。

IE 100 PRO
Sennheiser
¥15,012
ダイナミック

10mm のダイナミック1基。6機種でいちばん安い

MDR-EX800ST
SONY
¥31,382
ダイナミック

16mm のダイナミック1基。再生帯域は 3Hz〜28kHz と公表

ATH-E70
audio-technica
¥45,517
BA

低・中・高に BA を1基ずつ、計3基

SE846(第2世代)
Shure
¥141,609
BA

BA を4基。付け替えノズルで高域の出方を変えられる

AONIC 4
Shure
¥36,000
ハイブリッド

ダイナミック1基+BA1基のいちばん単純なハイブリッド

Aether
Kiwi Ears
¥26,400
平面駆動

15.3mm の平面駆動1基。代理店はスタジオ作業向けとうたう

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※ 掲載価格は2026年10月時点のものです。IE 900 は代表機種に入れていませんが、価格.comで在庫ありの最安値は ¥191,980 でした。Shure AONIC 4(ブラック)と Kiwi Ears Aether は価格.comで在庫ありの最安値、それ以外は Rock oN の販売ページの価格です。ドライバーの構成・口径・感度は各メーカーと国内代理店の公表値です。購入前に各販売ページで最新の情報をご確認ください。