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Behringer の AKS MINI が2026年9月18日に発売されます。1971年の EMS Synthi AKS を下敷きにした3ボイスのアナログシンセで、Rock oN の実売は23,100円(2026年9月時点・税込)。ただし音の出口はヘッドホン端子ひとつです。DTM に組み込むつもりなら、そこを先に確認してください。
この記事のポイント
- ライン出力はありません。音の出口は3.5mmのヘッドホン端子だけで、クイックスタートガイドにも「ミキシングデスクのバランスラインレベル入力には適しません」と書かれています。録音するならオーディオインターフェースのライン入力に3.5mm→標準の変換で入れて、レベルを自分で合わせることになります
- MIDIは受け取るだけです。DIN端子は IN のみで OUT はありません。DAW から鳴らす使い方はできますが、AKS MINI で他の機材を鳴らすことはできません
- 保存できるのはシーケンス10個で、音色メモリーの記載はありません。作った音はツマミの位置がすべてです。気に入った音は写真を撮るか、DAW側でノブの動きを記録して残します
復刻元は EMS Synthi AKS
Behringer の説明によれば、AKS MINI は EMS Synthi AKS の70年代オリジナルの VCO・VCF 回路を再現したうえで、3ボイスのポリフォニックに拡張したモデルです。日本の輸入代理店エレクトリの製品ページでも、Pink Floyd の『狂気』や Brian Eno の実験的な作品で使われた機材として紹介されています。
オリジナルの Synthi AKS はスーツケース型で、音の流れをピンで組み替えるマトリクスが顔でした。AKS MINI の仕様表と特長にマトリクスの記載はありません。代わりに置かれているのが2軸のジョイスティックで、任意の2つのパラメーターを X と Y に割り当てて動かせます。パッチの自由度をそのまま持ってきた製品ではなく、あの音のキャラクターを小さい箱に入れ直した製品だと考えたほうが実態に近いです。
| 項目 | 仕様 |
|---|---|
| 方式・ボイス数 | アナログ / 3ボイス |
| オシレーター | VCO×3(可変ノコギリ波 / 矩形波) |
| フィルター | AKS系 LPF、12dB/oct・24dB/oct 切替 |
| エンベロープ | 台形エンベロープシェイパー(Attack / On / Decay / Off)、ループ可 |
| LFO | 1基(サイン / ノコギリ / 矩形 / ランダム) |
| 鍵盤 | 27鍵・静電容量タッチ |
| エフェクト | デジタルスプリングリバーブ(Dry/Wet) |
| シーケンサー | 16ステップ×10パターン、ノブオートメーション記録、テンポ10〜600bpm |
| 入出力 | MIDI IN(5pin DIN・16ch)/ USB-C(クラスコンプライアントMIDI)/ SYNC / ヘッドホン3.5mm TRS |
| 電源 | USB Type-C |
| サイズ・重量 | 40 × 124 × 193 mm / 0.36 kg |
エンベロープが ADSR ではない
スペック表には「1 × ADSR」と書かれていますが、パネルに並ぶツマミは Attack / On / Decay / Off です。音の立ち上がり、そのまま保つ時間、減衰、休符の長さを別々に決める台形のエンベロープで、Synthi 系の特徴がここに残っています。しかもこれをループさせられます。
鍵盤を押している長さではなく、ツマミで決めた時間で音が動く。ドローンやリズミカルなパルス、勝手に脈打つパッドはこの構造から出てきます。鍵盤を押した長さぶんだけ素直に伸びるストリングスのような音は苦手です。
LFO は1基で、サイン・ノコギリ・矩形・ランダムの4波形。かかり先はピッチとカットオフに独立した深さツマミが付いています。ランダム波形とループする台形エンベロープを重ねると、同じ音が二度と出てこない状態を簡単に作れます。
買う前に確認したい4点
1. 出口はヘッドホン端子だけ
仕様上の音声出力は、3.5mm TRS ステレオ(5mW / 32Ω)の1系統です。クイックスタートガイドの端子説明には、「ミキシングデスクのバランスラインレベル入力には適しません」と書かれています。
ヘッドホンアンプの出力をライン入力に入れるので、ゲインは足りても、インピーダンスもレベルも本来想定されたものではありません。ノイズフロアや歪みは実機で確かめることになります。
2. MIDI は IN のみ
USB-C はクラスコンプライアントの MIDI デバイスとして認識されるのでドライバは不要ですが、こちらもオーディオは通りません。USBケーブル1本で DAW に音が録れる機材ではありません。
SYNC 端子は方向が状況で変わります。外部アナログクロックに同期させるときは入力として働き、MIDI または USB クロックを選んでいるときはアナログ同期の出力として働く、とマニュアルに書かれています。
3. 音色は保存できない
MEMORY/WRITE ボタンはシーケンサー用で、保存対象は16ステップのパターン10個です。音色そのもののメモリーは仕様にもマニュアルにも出てきません。
ただし全パラメーターが MIDI(NRPN / CC)に対応しています。DAW 側でカットオフやリバーブ量をオートメーションに書けば、演奏中に手が足りない動きも入れられます。
4. アナログなので温まるまで待つ
マニュアルには、録音やライブの前に15分以上のウォームアップを取ることが推奨されています。寒いところから持ち込んだ場合はもっと長く、とも書かれています。USBバスパワーで動く小さい箱でも、中身はアナログ回路です。
向いている人・見送ったほうがいい人
PROS
- 3ボイスのアナログが2万円台前半
- 0.36kg・USB-C給電で場所を選ばない
- 全パラメーターがMIDIで動かせる
CONS
- ライン出力がなくヘッドホン端子のみ
- MIDI OUTがなく他機材を鳴らせない
- 音色メモリーがない
向いているのは、DAW の中にアナログの手触りを1台足したい人です。台形エンベロープとランダムLFOは、狙って作るより先に音が出てくる種類の道具です。
見送ったほうがいいのは、鍵盤を弾いて曲を作りたい人です。ベロシティのある鍵盤を持つ機種を選んだほうが早く着地します。Synthi のピンマトリクスを触りたい人も、この機種では目的を果たせません。
まとめ
判断が分かれるのは音ではなく接続です。ヘッドホン端子から録る手間を受け入れられるかどうかで、机の上に置けるかが決まります。
発売日と在庫を確認する
※ 掲載価格は2026年9月時点の Rock oN の税込価格です。実売価格のため変動します。仕様はメーカー公式(エレクトリ)の製品ページおよび AKS MINI クイックスタートガイドの記載によります。購入前に販売ページで最新の情報をご確認ください。

