TWINFOLD は、ステレオ幅を広げても狭めても、モノラルにまとめた音が変わらないステレオイメージャーです。左右の差(Side)にだけ処理を掛けるので、モノラルにまとめた音は変わりません。
1. 概要
一般的なステレオイメージャーでは、ステレオ幅を広げるほどモノラル再生時に音が痩せたり、一部の音が打ち消し合って消えてしまう現象が起こりやすくなります。TWINFOLD は、すべての幅調整処理を左右の差(Side)に対してのみ行い、センター成分(Mid)には一切手を加えない構造を採用しています。そのため、どれほど大胆に広げても狭めても、モノラル再生時の音質や音量は原音と完全に一致します。
- モノラル不変の保証: 左右の差(Side)にだけ処理を掛けるので、モノラルにまとめた音は変わりません。
- 直感的な幅調整:
WIDTH ノブ 1 つで全体の広がりを調整できます。
- 低域の引き締め:
BASS MONO により、指定周波数以下のステレオ成分をカットしてセンターに集め、低域の濁りを防ぎます。
- 充実したビジュアル表示: 入力音量に応じて滑らかに拡大するベクトルスコープ、位相相関メーター、モノラル化時の音量損失を常時監視する
MONO LOSS メーターを搭載しています。
- 低遅延モード: 画面右上の
ZERO LAT ボタンにより遅延を完全に排除し、録音やライブ演奏でも快適に使用できます。
- ファクトリープリセット & A/B 比較: 7 種類のプリセットと、 A/B 切り替え機能を備えています。
- モノラルトラック対応: ステレオトラックはもちろん、モノラルトラックに挿入してステレオ出力へ広げるルーティングにも対応しています。
2. 動作環境
| 項目 | 内容 |
| 対応 OS | Windows 10 / 11 (64bit)、macOS 11 以降(Apple Silicon / Intel) |
| プラグイン形式 | Windows: VST3 / Mac: VST3・AU |
| 対応ホスト | VST3 または AU 対応の DAW |
| 入力チャンネル | ステレオ または モノラル |
| 出力チャンネル | ステレオ |
| サンプルレート | ホスト(DAW)に依存 |
| 画面サイズ | 960 × 600 px (固定・リサイズ不可) |
| 画面の言語 | 日本語 / 英語(OS の表示言語に合わせて切り替わります) |
| レイテンシー | あり(DAW により自動補正。ZERO LAT オンで遅延ゼロ) |
3. インストール
インストール(Windows)
- ダウンロードした ZIP ファイルを解凍します。
TWINFOLD.vst3 フォルダを次の場所へコピーします:
C:\Program Files\Common Files\VST3\
- DAW を起動し、プラグインの再スキャンを実行します(DAW を起動したままコピーすると反映されないことがあります)。
Windows での警告について:
コード署名をしていないため、初回起動時やダウンロード時に Windows の SmartScreen による警告が表示されることがあります。「詳細情報」をクリックしてから「実行」を選択して進めてください。
インストール(Mac)
- ダウンロードした ZIP ファイルを解凍します。
TWINFOLD.vst3 を ~/Library/Audio/Plug-Ins/VST3/ へ、TWINFOLD.component を ~/Library/Audio/Plug-Ins/Components/ へコピーします(~ はホームフォルダです。Finder の「移動」メニューから「フォルダへ移動」を選び、パスを貼り付けると開けます。フォルダが存在しない場合は新規作成してください)。
- ターミナル(アプリケーション → ユーティリティ → ターミナル)を開き、次の 3 行を 1 行ずつ貼り付けて Return キーを押します。
cd ~/Library/Audio/Plug-Ins
xattr -dr com.apple.quarantine VST3/TWINFOLD.vst3
xattr -dr com.apple.quarantine Components/TWINFOLD.component
- DAW を起動し、プラグインの再スキャンを実行します(DAW を起動したままコピーすると反映されないことがあります。Logic Pro などで AU が一覧に出てこないときは Mac を再起動してください)。
Mac でのセキュリティ警告について:
本プラグインは公証を受けていないため、ターミナルでの上記コマンドを実行しないと macOS が「壊れているため開けません」「開発元を検証できません」と表示し、DAW がプラグインを読み込みません。このコマンドはダウンロードしたファイルに macOS が付与する隔離属性(印)を外すものです。アップデートでプラグインを入れ直した際にも再実行が必要です。何も表示されずに次の行に進めば成功です。
アンインストール
【Windows】コピーした TWINFOLD.vst3 フォルダを削除してください。
【Mac】コピーした TWINFOLD.vst3 および TWINFOLD.component を削除してください。
4. 画面の見かた
ヘッダー帯(上段)
- ロゴ & バージョン: ウィンドウ左上にロゴと製品バージョン(
v1.1.0)を表示します。
- PresetBar: プリセットの選択と管理を行います。中央に現在のプリセット名が表示されます。
- A / B / COPY: 2 つの設定を切り替えて比較できる A/B 比較ボタンと、現在の設定をもう一方のスロットへ写す
COPY ボタンです。
- ZERO LAT: 低遅延モードのオン/オフを切り替えます。点灯時はレイテンシーがゼロになります。
InfoBar(上部帯)
- ヘッダーの直下に配置されています。つまみやボタンにマウスカーソルを合わせると、その機能の解説や操作のヒントが表示されます(OS の表示言語に合わせて日本語か英語)。
SCOPE パネル(左側)
- ベクトルスコープ: 出力信号のステレオ音像(広がりと定位)をリアルタイムにプロット表示します。音量レベルに応じて最適な表示倍率へ滑らかに自動拡大(Auto Zoom)します(右下に現在の倍率を表示)。
- 位相相関メーター: 出力の左右チャンネルの位相相関度を −1.0 から +1.0 の範囲で表示します。+1.0 は完全なモノラル、0.0 は無相関(ステレオ)、マイナスは逆相成分を含んでいることを示します。
- MONO LOSS メーター: 「このステレオ音声をモノラルにまとめたときに、音量がどれだけ低下するか」を dB で常時表示します。0 dB は損失なし、緑(−2 dB 以上)、黄(−2〜−4 dB)、赤(−4 dB 未満)の色分けにより、広げすぎによるモノラル再生時の音量落ちを一目で把握できます。
WIDTH パネル(中央)
- WIDTH: ステレオ全体の広がりを調整する大型ノブです。
- BASS MONO: 低域のみをモノラル化するトグルスイッチです。
- FREQ: BASS MONO を適用する上限周波数を設定するノブです。
BANDS および PRO TOOLS パネル(右側)
- Free 版では右側セクションに「PRO」バッジが表示され、操作は無効化されています。3 帯域独立の幅調整や RECOVER、STEREOIZE、AUTO WIDTH、MONO/SIDE 試聴モードは上位版 TWINFOLD Pro で利用できます。
OUTPUT パネル(下端)
- OUT: プラグインの最終出力レベルを調整します。
- BYPASS: プラグイン全体の処理をバイパス(素通し)します。
5. 各つまみ・ボタン
- WIDTH (0 .. 200 %, デフォルト:
100 %)
ステレオ成分(Side)の音量を調整します。100% で原音の広さ、0% で完全なモノラル、200% でステレオ感が強調されます。左右の差(Side)にだけ処理を掛けるので、モノラルにまとめた音は変わりません。
- BASS MONO (off / on, デフォルト:
off)
低域のステレオ成分をカットしてセンターに集める機能をオン/オフします。キックやベースの定位をセンターに安定させ、低域の位相干渉を防ぎます。
- FREQ (40 .. 300 Hz, デフォルト:
120 Hz)
BASS MONO が有効なとき、モノラル化する上限周波数を指定します。対数スケールで設定できます。
- OUT (-12.0 .. +12.0 dB, デフォルト:
0.0 dB)
最終出力音量を調整します。
- BYPASS (off / on, デフォルト:
off)
プラグインの処理をバイパスします。オンにするとエフェクトが掛かっていない原音が出力されます。
- ZERO LATENCY (off / on, デフォルト:
off)
ヘッダー右端の ZERO LAT ボタンで切り替えます。オンにするとプラグインの処理遅延がゼロになり、録音や演奏時のレイテンシーをなくすことができます。オン時はステレオ成分の位相がわずかに変化し、BASS MONO の効き方がわずかに緩やかになります。
6. プリセット
TWINFOLD には、7 種類のファクトリープリセットが内蔵されています。
- F01: DEFAULT — 初期状態。原音のステレオバランスをそのまま保ちます。
- F02: GENTLE WIDE — WIDTH 125%。自然で控えめな広がりを与えます。
- F03: WIDE — WIDTH 160%、BASS MONO 120 Hz。標準的な広がりと低域の引き締めを両立します。
- F04: EXTRA WIDE — WIDTH 200%、BASS MONO 150 Hz。大胆なワイド感とタイトな低域を作ります。
- F05: TIGHT LOW END — WIDTH 100%、BASS MONO 180 Hz。全体の幅は維持したまま低域を引き締めます。
- F06: NARROW — WIDTH 60%。ステレオ感を狭めて音像をタイトに中央へ寄せます。
- F07: MONO — WIDTH 0%。完全なモノラル出力にします。
プリセットに含まれない設定:
BYPASS と ZERO LATENCY の設定状態はプリセットには含まれません。プリセットを切り替えても、バイパス状態やレイテンシーモードが意図せず変化することはありません。
※ Free 版ではプリセットの保存(SAVE)および削除(DEL)機能は無効化されています。設定の保持やオートメーションは DAW のプロジェクトファイル経由で行ってください。
7. A/B 比較
ヘッダー帯の A および B ボタンを使用すると、2 つの設定を切り替えて比較試聴できます。
- プラグイン起動時はスロット
A が有効になっています。
- 初めて
B ボタンを押したときは、その時点の A の設定がそのまま B にコピーされます。その後はそれぞれのスロットで独立してパラメータを調整できます。
- 有効なスロットのボタンがシアン色に点灯します。
COPY ボタンを押すと、現在選択されているスロットの設定がもう一方のスロットへ上書きコピーされます。
- プリセットを選択すると、現在有効になっているスロットの設定のみが更新されます。
- 注意: DAW プロジェクトの保存時には、その時点で有効になっているスロットの設定値のみが保存されます。A/B の両方のメモリ内容はプロジェクトには保持されません。また、
BYPASS および ZERO LATENCY の設定は A/B 切り替えの対象外です。
8. 使い方のヒント
- モノラル再生の確認:
DAW のユーティリティ等でモノラル再生に切り替えて確認してみてください。TWINFOLD は左右の差(Side)にだけ処理を掛けるので、モノラルにまとめた音は変わりません。どれほどステレオ感を強調しても、モノラル環境でボーカルやキックが引っ込んだり消えたりする心配がありません。
- MONO LOSS メーターの活用:
モノラル和自体の音色は変わりませんが、ステレオ幅を大きく広げるとステレオ全体のエネルギーに対するモノラルの比率が下がり、モノラル再生時に相対的な音量低下(音痩せ感)を感じることがあります。MONO LOSS メーターが緑色(−2 dB 以上)の範囲に収まっていれば、モノラルで聞いたときの音量差はほとんど気になりません。
- 高域の広げすぎとプリエコー:
高域を大きく広げると、アタックの直前にわずかな響きが出ることがあります。気になるときは ZERO LAT をオンにしてください。
- キックやベースの定位安定:
ミックスバスやマスタリングでは、BASS MONO をオンにして FREQ を 100〜140 Hz 程度に設定するのがおすすめです。クラブや大型スピーカーでの低域の位相打ち消しを防ぎ、パンチのあるボトムエンドを維持できます。
上位版 TWINFOLD Pro について
より精密なミックス・マスタリングを行いたい方のために、上位版「TWINFOLD Pro」もご用意しています。TWINFOLD Pro では以下の機能が追加されます:
- 3 帯域独立のステレオ幅調整(LOW / MID / HIGH)
- 幅を狭めた帯域の音量を Mid で補う RECOVER 機能
- モノラル音源から自然なステレオを合成する STEREOIZE 機能
- ワンクリックでモノラルや Side 成分のみを確認できる MONO / SIDE 試聴機能
- 目標の広がりへ自動追従する AUTO WIDTH 機能
- 帯域ごとの位相相関表示と、クロスオーバー周波数境界のマウスドラッグ操作
- ユーザープリセットの保存・削除・ファイル書き出し/読み込み(.twinfold)
9. 注意事項
- 本製品はサポートなし・現状渡しの無料配布(フリーウェア)です。
- ソースコードは非公開です。
- 本製品の著作権は Tonecraft Tokyo に帰属します。
- 本製品の改変・リバースエンジニアリング・再配布・転売を禁止します(配布は公式サイトと BOOTH からお願いします)。
- 商用・非商用を問わず無料でご利用いただけます。
10. 免責事項
- 本製品は現状有姿(AS IS)で提供されます。明示・黙示を問わず、商品性、特定目的への適合性、第三者の権利を侵害しないことを含め、いかなる保証も行いません。
- 本製品の使用または使用不能によって生じたいかなる損害(プロジェクトファイルやオーディオデータの消失・破損、機材の不具合、作業時間の損失、逸失利益などを含み、これらに限りません)についても、Tonecraft Tokyo は一切の責任を負いません。
- すべての DAW・OS・ハードウェアの組み合わせでの動作は保証しません。
- 本製品は予告なく仕様変更・提供終了する場合があります。
- ご利用は自己責任でお願いします。重要な作業の前にはプロジェクトのバックアップを取ってください。
11. ライセンス表記
- VST is a trademark of Steinberg Media Technologies GmbH.
- 本製品は JUCE を使用しています。
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