Tonecraft Tokyo — VST3 / AU Plugin

SCOPE2

ユーザーマニュアル — v1.2.0

配布ページ — Tonecraft Tokyo 公式サイト ↗

SCOPE2 は、音量の推移を目で確かめるためのメータープラグインです。波形・RMS・PEAK・リサージュの 4 つの表示に、ラウドネスメーター(LUFS / LRA / True Peak)を組み合わせています。Spotify(-14 LUFS)や放送(-23 LUFS)の基準値に対して、今どれだけ大きいか・小さいかを 1 画面で確認できます。音を加工しない計測専用のプラグインで、入力はそのまま出力されます。

SCOPE2 は SCOPE とは別のプラグインとして認識されます。DAW 上で両方を並べて使えますが、SCOPE を使っている既存のプロジェクトが自動で SCOPE2 に置き換わることはありません。

SCOPE(旧版)との違い

項目 SCOPE SCOPE2
ラウドネス LOUDNESS の簡易表示 1 つ(LUFS ではない) LUFS で INTEGRATED / MOMENTARY / SHORT-TERM / LRA / TRUE PEAK MAX を表示。計測の一時停止・再開もできる
配信の基準値 なし -14 LUFS(Spotify)/ -23 LUFS(EBU R 128)を選ぶと、基準値との差と True Peak の超過を表示
プリセット ヘッドルームのボタン(-18 ~ -6)のみ ファクトリープリセット 7 つ+自分の設定の保存・書き出し。ヘッドルームのボタンも残っています
時間軸 WINDOW と ZOOM の 2 つ WINDOW だけ。表示している秒数がそのまま読めます
RESET ピークホールドと CLIP ラウドネスの計測もまとめてリセット
操作の説明 なし マウスを載せると InfoBar に説明が出ます(OS の表示言語に合わせて日本語 / 英語)
画面サイズ 800 × 480 1100 × 680

画面の小さいノート PC などで 1100 × 680 が収まらない場合や、SCOPE で作った既存のプロジェクトを開く場合は、旧版の SCOPE もそのまま使えます。

1. クイックスタート

  1. 測りたいトラック、またはマスタートラックの最後に SCOPE2 を挿入します。
  2. 画面上部のプリセットから、配信先に合わせて STREAMING -14 LUFS か BROADCAST -23 LUFS を選びます。
  3. RESET を押してから、曲の頭から終わりまで再生します。
  4. 右の INTEGRATED に曲全体のラウドネスと、基準値との差(LU vs -14 など)が出ます。TRUE PEAK MAX が赤くなっていたら、基準値を超えたピークがあります。

挿す場所の使い分け:素材そのもののレベル(録音や音源の大きさ、後ろのエフェクトに入る音量)を見るときはトラックに、曲全体のラウドネスやクリップを見るときはマスタートラックの最後に挿します。

2. 画面構成

ヘッダー・InfoBar

  • 左上にロゴとバージョン、その右にプリセットバーがあります。
  • その下の InfoBar には、マウスを載せたつまみやボタンの説明が出ます。

ツールバー

  • WAVE / RMS / PEAK / LISSA — 中央の表示モードを切り替えます。
  • GRID — 目盛り線の表示を切り替えます。
  • FILL — 波形の下側の塗りつぶしを切り替えます。
  • LINK — 左右を連動させます(→「Stereo Link」)。
  • HOLD — ピークホールド(最大値を一定時間残す表示)の ON/OFF。
  • CLIP — 0 dBFS を超えたサンプルがあると赤く点灯し、そのまま点きっぱなしになります。クリックで消灯します。
  • FREEZE — 中央の波形だけ止めます。ピークメーター・数値・ラウドネスは動き続けます。
  • RESET — ピークホールド・CLIP・ラウドネスの計測をまとめてリセットします。

左パネル(ノブ)

  • WINDOW — 波形エリアに表示する時間の長さ(0.5s ~ 30s)
  • HOLD — ピークホールドが最大値を残しておく時間(0.5s ~ 5.0s)
  • FLOOR — 波形エリアの下限(-120 dB ~ -20 dB、10 dB 刻み)
  • CEILING — 波形エリアの上限(0 dB ~ +12 dB、3 dB 刻み)
  • HEADROOM の VU 0 — VU 0 とする基準レベル(-24 dB ~ 0 dB)。波形エリアに金色の破線で出ます。ノブの上のボタン(-18 / -14 / -12 / -9 / -6)でよく使う値をワンクリックで選べます。
  • ATTACK — RMS 表示が上がるときの速さ(1 ms ~ 500 ms)
  • RELEASE — RMS / PEAK 表示とピークホールドが下がるときの速さ(50 ms ~ 1000 ms)

中央・波形エリア

  • 選んだ表示モードで音量の推移を描きます。
  • 縦軸は FLOOR ~ CEILING。VU 0 の位置に金色の破線が出ます。
  • HOLD が ON のときは、L / R のピークホールド線を表示します。

ピークメーター

  • 左右のサンプルピークを縦のバーで表示します。目盛りは -60 dB ~ +6 dB 固定です。FLOOR / CEILING は波形エリアの縦軸だけに効き、メーターの目盛りは変わりません。
  • バーの色はレベルで変わります。
レベル 色
0 dBFS 以上 赤
-6 dBFS 以上 オレンジ
-12 dBFS 以上 黄
-12 dBFS 未満 チャンネルの基本色(L / R で色違い)

ラウドネスパネル

  • 基準値(パネル上端のドロップダウン)— 配信先の基準値を選びます。OFF / -14 LUFS (Spotify) / -23 LUFS (EBU R 128)。どちらも True Peak の上限は -1 dBTP です。
  • INTEGRATED — 曲全体の平均ラウドネス。リセットしてからの音をすべて数えます。基準値を選んでいると、下に差が出ます(例 +2.3 LU vs -14)。
  • MOMENTARY — 直近 0.4 秒のラウドネス。瞬間的な大きさの確認に。
  • SHORT-TERM — 直近 3 秒のラウドネス。フレーズ単位の大きさの確認に。
  • LRA — ラウドネスレンジ(音量の幅)。大きいほど、静かな所と大きな所の差があります。
  • TRUE PEAK MAX — サンプルとサンプルの間で起きるピークも含めた最大値。基準値を超えると赤くなります(基準値が OFF のときは 0 dBTP 超えで赤)。
  • MEASURED — 計測している時間。一時停止中は PAUSED と出ます。
  • PAUSE / RESUME — ラウドネスの計測を一時停止・再開します。

ステータスバー

サンプルレート(SR)、バッファサイズ(BUF)、チャンネル数(CH)を表示します。

3. 機能の詳細

表示モード(WAVE / RMS / PEAK / LISSA)

  • WAVE — 入力波形をそのまま表示します。トランジェントの形やエンベロープの確認に。
  • RMS — 平均的な音量の推移を表示します。ATTACK / RELEASE で動きの速さが変わり、VU メーターのように使えます。時間で平均するので、一瞬のクリップは 0 dBFS 付近まで届きません。クリップは CLIP ランプで確認してください。
  • PEAK — 上がるときはピークに即追従し、下がるときだけ RELEASE が効きます(ATTACK は効きません)。
  • LISSA — 左右の位相関係(リサージュ)を表示します。右上がりの斜め線に近いほどモノラル、右下がりの斜め線に近いほど逆相です。

Stereo Link

左右を連動させ、大きい方のチャンネルで表示します。中央の表示にリンクが効くのは RMS と PEAK のときだけです。WAVE と LISSA は左右の差そのものを見る表示なので、リンクしません。ピークメーターとピークホールド線は、モードにかかわらずリンクします。

ラウドネスの読み方

  • まず RESET。INTEGRATED と LRA はリセットしてからの音をすべて数えるので、途中から測ると前の音が混ざります。
  • INTEGRATED の差の色: 緑=基準値から ±1 LU 以内/オレンジ=1 LU を超えて大きい/薄い青=1 LU を超えて小さい。
  • MOMENTARY / SHORT-TERM のバーには、基準値の位置にライム色の線、リセット後の最大値に白い線が出ます。最大値は右下の MAX にも数値で出ます。
  • LRA は、計測を始めてから 60 秒間は値が安定しません。その間は WAIT と出ます。
  • とても小さい音(無音など)は平均に入りません。曲間の無音で INTEGRATED が下がることはありません。
  • DAW の再生を止めても計測は止まりません(DAW が音を流している間は数え続けます)。数えたくない区間は PAUSE を押してください。RESUME で、それまでの値に続けて数えます。

CLIP と TRUE PEAK MAX の違い

  • CLIP は、サンプルの値が 0 dBFS を超えたときに点きます。
  • TRUE PEAK MAX は、サンプルとサンプルの間で起きるピーク(DA 変換や配信時の変換で現れるもの)も含めた最大値です。CLIP が点いていなくても、TRUE PEAK MAX が基準値を超えることがあります。

プリセット

ファクトリープリセットは 7 つです。ラウドネスの基準値と表示設定をまとめて切り替えます。

プリセット 内容
DEFAULT RMS 表示・基準値なし。起動時の状態
STREAMING -14 LUFS Spotify などの配信向け(-14 LUFS / -1 dBTP)
BROADCAST -23 LUFS 放送向け(EBU R 128、-23 LUFS / -1 dBTP)。表示幅 10 秒
PEAK WATCH PEAK 表示・基準 -6 dB。ピークの張り付きを見張る
VU -18 dBFS RMS 表示・基準 -18 dB・左右リンク。VU メーター的に使う
WAVEFORM WAVE 表示・表示幅 1 秒。トランジェントを見る
STEREO IMAGE LISSA 表示。左右の広がりと位相を見る

今の設定は、プリセットバーから名前を付けて保存できます。保存したプリセットは %APPDATA%\SCOPE2\Presets\ に置かれます。ファイルへの書き出し・読み込み(.s2p)にも対応しています。

オートメーション用パラメータ ID

パラメータ ID 内容
display_mode 表示モード
window_sec 表示時間
loudness_target ラウドネスの基準値
floor_db 波形エリアの下限
ceil_db 波形エリアの上限
headroom_db ヘッドルーム(VU 0 の基準)
show_grid 目盛り線
show_fill 塗りつぶし
show_peak_hold ピークホールド
stereo_link ステレオリンク
attack_ms アタック
release_ms リリース
hold_time_sec ピークホールドの保持時間

4. 使い方の例

配信用のマスターを確認する

  1. マスタートラックの最後(リミッターの後)に挿し、STREAMING -14 LUFS を選びます。
  2. RESET を押し、曲を頭から最後まで再生します。
  3. INTEGRATED の差が緑(±1 LU 以内)か、TRUE PEAK MAX が赤くなっていないかを見ます。

配信サービスは、基準より大きい曲を自動で下げます。INTEGRATED が基準値より大きくても音割れにはなりませんが、音圧を上げたぶんの効果は消えます。

VU メーターとして使う

VU メーターの規格では、上がる速さと下がる速さはどちらも 300 ms です。VU -18 dBFS プリセット(ATTACK / RELEASE とも 300 ms)が近い動きになります。基準を北米の慣習に合わせたいときは VU 0 を -20 dB にします。

5. 動作環境

項目 内容
OS Windows 10 / 11 x64、macOS 11 以降(Apple Silicon / Intel)
形式 Windows: VST3(64bit)/ Mac: VST3・AU
対応 DAW VST3 または AU に対応した DAW
入出力 モノ / ステレオ
サンプルレート 44.1 kHz ~ 192 kHz
ウィンドウ 1100 × 680(固定)
レイテンシー なし(信号を加工せずそのまま通します)

6. インストール・アンインストール

インストール(Windows)

  1. ZIP を解凍します。
  2. SCOPE2.vst3 フォルダを C:\Program Files\Common Files\VST3\ へコピーします。
  3. DAW を起動し、プラグインの再スキャンを実行します(DAW を起動したままコピーすると反映されないことがあります)。

インストール(Mac)

  1. ZIP を解凍します。
  2. SCOPE2.vst3 を ~/Library/Audio/Plug-Ins/VST3/ へ、SCOPE2.component を ~/Library/Audio/Plug-Ins/Components/ へコピーします(~ はホームフォルダです。Finder の「移動」→「フォルダへ移動」にパスを貼り付けると開けます。フォルダが無ければ作成してください)。
  3. ターミナル(アプリケーション → ユーティリティ → ターミナル)を開き、次の 3 行を 1 行ずつ貼り付けて Return を押します。
    cd ~/Library/Audio/Plug-Ins
    xattr -dr com.apple.quarantine VST3/SCOPE2.vst3
    xattr -dr com.apple.quarantine Components/SCOPE2.component
  4. DAW を起動し、プラグインの再スキャンを実行します(DAW を起動したままコピーすると反映されないことがあります)。

何も表示されなければ成功です。これを実行しないと macOS が「壊れているため開けません」「開発元を検証できません」と表示し、DAW がプラグインを読み込みません。このコマンドはダウンロードしたファイルに macOS が付ける印を外すだけのものです。アップデートで入れ直したときも再実行が必要です。

アンインストール(Windows)

コピーした SCOPE2.vst3 フォルダを削除してください。保存したプリセットも消す場合は %APPDATA%\SCOPE2\ も削除します。

アンインストール(Mac)

コピーした SCOPE2.vst3 と SCOPE2.component を削除してください。保存したプリセットも消す場合は ~/Library/SCOPE2/ も削除します。

7. トラブルシューティング

トラックのフェーダーを下げても表示が変わらない

  • 多くの DAW では、トラックに挿したプラグインはフェーダーより前で音を受け取ります。そのため、同じトラックのフェーダーを下げても SCOPE2 の表示は変わりません。故障ではありません。
  • SCOPE2 に届く音量を変えたいときは、SCOPE2 より前で下げてください(Ableton Live なら SCOPE2 の前に挿した Utility の Gain、クリップの Gain、音源やエフェクトの出力音量など)。
  • フェーダーを通った後の音量を見たいときは、マスタートラックやグループトラックに SCOPE2 を挿してください。
  • INTEGRATED が思ったより小さい/大きい
    • リセットする前の音が混ざっています。RESET を押してから、測りたい区間だけを再生してください。
  • INTEGRATED が --- のまま
    • まだ十分な長さの音が入っていないか、とても小さい音しか入っていません。PAUSED と出ていたら RESUME を押してください。
  • LRA に WAIT と出ている
    • 計測を始めてから 60 秒間の表示です。故障ではありません。
  • 波形が動かない
    • FREEZE が ON になっていないか確認してください(中央の波形だけが止まります)。
    • トラックに音が入っているか、挿したトラックが正しいかを確認してください。
  • CLIP が消えない
    • 点灯は保持される仕様です。CLIP をクリックするか、RESET を押してください。
  • DAW にプラグインが出てこない
    • 【Windows】コピー先が C:\Program Files\Common Files\VST3\ になっているか、DAW の再スキャンを行ったかを確認してください。
    • 【Mac】コピー先(VST3 は ~/Library/Audio/Plug-Ins/VST3/、AU は ~/Library/Audio/Plug-Ins/Components/)に正しくコピーされているか、ターミナルでのコマンド実行を行ったか、DAW の再スキャンを行ったかを確認してください。Logic Pro などで AU が一覧に出てこないときは Mac を再起動してください。
  • Mac で「壊れているため開けません」「開発元を検証できません」と出る
    • 「6. インストール・アンインストール」の Mac 手順にあるターミナルコマンドを実行してください。

8. 注意事項

  • 本製品はサポートなし・現状渡しの無料配布(フリーウェア)です。
  • ソースコードは非公開です。
  • 本製品の著作権は Tonecraft Tokyo に帰属します。
  • 本製品の改変・リバースエンジニアリング・再配布・転売を禁止します(配布は Tonecraft Tokyo 公式サイトからお願いします)。
  • 商用・非商用を問わず無料でご利用いただけます。
  • 本製品は JUCE、Noto Sans JP(SIL Open Font License 1.1)、JetBrains Mono(SIL Open Font License 1.1)を使用しています。

9. 免責事項

  • 本製品は現状有姿(AS IS)で提供されます。明示・黙示を問わず、商品性、特定目的への適合性、第三者の権利を侵害しないことを含め、いかなる保証も行いません。
  • 本製品の使用または使用不能によって生じたいかなる損害(プロジェクトファイルやオーディオデータの消失・破損、機材の不具合、作業時間の損失、逸失利益などを含み、これらに限りません)についても、Tonecraft Tokyo は一切の責任を負いません。
  • すべての DAW・OS・ハードウェアの組み合わせでの動作は保証しません。
  • 本製品は予告なく仕様変更・提供終了する場合があります。
  • ご利用は自己責任でお願いします。重要な作業の前にはプロジェクトのバックアップを取ってください。