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OBS はマイクのフィルタを上から順にかけていきます。並べ方を間違えると、ノイズを消す前に声を持ち上げてエアコンやファンの音まで大きくしたり、音割れ防止のリミッターが途中に入って効かなかったりします。

  • 基本の順番は ゲイン → ノイズ除去 → ノイズゲート → 声の調整(EQ・コンプレッサー)→ 響き → リミッター
  • Tonecraft Tokyo のプラグインでは、SILENTIQ がノイズ除去、VELVOX が声の調整、VELCANTO が響きの位置に入ります
  • SILENTIQ は話し声で約0.04秒、歌声で約0.06秒遅れます。歌枠では伴奏とのずれを合わせます

標準フィルタの並べ方

順番 フィルタ 役目
1 ゲイン マイクの音が小さいときに持ち上げる。足りていれば要らない
2 ノイズ抑制 声に重なったファンやエアコンの音を消す
3 ノイズゲート 話していない間、マイクの音を閉じる
4 3バンドイコライザ/コンプレッサー 声の太さや抜けを整え、大小の差を縮める
5 (響き) リバーブやエコー。OBS の標準フィルタには無い
6 リミッター 大声で音が割れないよう、頭を抑える

ゲインを先頭に置くのは、後ろのノイズゲートやコンプレッサーが「どれくらいの大きさから効かせるか」を入力の大きさで決めているからです。

ノイズを消してから声を整えるのは、コンプレッサーが小さい音を持ち上げるためです。ノイズが残ったまま通すと、ノイズまで大きくなります。リミッターは最後です。その前のどこで音量が上がっても、出口で止められます。

標準フィルタで足りないところを埋める3本

OBS の標準フィルタだけで組むと、困るところが3つあります。響き(リバーブ・エコー)のフィルタが無いので、歌枠でエコーをかけられません。イコライザとコンプレッサーは、周波数やしきい値、比率を自分で決めなければなりません。標準のノイズ抑制(RNNoise)は声への影響が大きく、歌声では伸ばした音が削れることがあります。

Tonecraft Tokyo(このサイト)では、この部分をノブ2〜3個で済ませられる配信者向けのプラグインを配布しています。

VELVOX:話し声を整える(無料)

WARMTH(声の太さ)と PRESENCE(抜けの良さ)の2つのノブで、話し声を BGM やゲーム音に埋もれないようにします。処理による遅延はありません。

VELCANTO:歌声に艶と響きを足す(無料)

SHINE(艶)・SPACE(響き)・ECHO(エコー)の3つのノブで、歌枠の歌声にホールの響きやカラオケのようなエコーを付けます。無料版は遅延がありません。

SILENTIQ:AI でノイズを消す(試用版は無料)

エアコン・PC のファン・打鍵音のような、話している最中に重なる環境ノイズを AI で消します。GPU は要りません。試用版は30秒ごとにノイズが混ざるので、配信で使うには製品版(¥1,000)が要ります。

3本を順番のどこに入れるか

標準フィルタの位置 入れるプラグイン
2 ノイズ抑制 SILENTIQ
4 イコライザ・コンプレッサー VELVOX
5 響き VELCANTO

SILENTIQ を使うなら、OBS 標準のノイズ抑制は外します。VELVOX と VELCANTO は出口で音割れを抑えているので、どこまでノブを回しても割れません。標準のリミッターを後ろに足さなくて済みます。ただしマイクの入口ですでに割れている音は直せないので、そのときはマイク側の入力を下げます。

VELVOX Pro には、コンプレッサーにあたる CONTROL と、ノイズゲートにあたる NOISE が入っています。役目が重なるので、Pro を使うなら標準のコンプレッサーとノイズゲートは外します。

OBS に挿す前に:atkAudio Plugin Host を入れる

VELVOX・VELCANTO・SILENTIQ は3本とも VST3 です。OBS に最初からある「VST 2.x プラグイン」フィルタは VST2 しか読めないので、そのままでは挿せません。無料の OBS プラグイン atkAudio Plugin Host を入れると、マイクの音声フィルタから VST3 を読み込めるようになります(OBS Studio 31.1.1 以降・64bit)。手順は OBS ノイズ抑制 AI おすすめ5選 に書いています。

プラグインごとに atkAudio Plugin Host のフィルタを1本ずつ足すと、フィルタの並び順がそのまま処理の順番になります。

雑談・ゲーム配信の順番

  1. SILENTIQ(MODE は NARRATION)
  2. VELVOX

SILENTIQ は STRENGTH を上げすぎると声がこもったり金属っぽくなったりします。エアコンや換気扇くらいなら STRENGTH 10〜20、サーッというホワイトノイズなら 20〜40 で消えます。消えたところで止めてください。

VELVOX は、ゲーム音に声が埋もれるなら PRESENCE を、声が細いと感じたら WARMTH を上げます。上げてもサ行は自動で抑えられます。OUT メーターのバーが帯の中に入っていれば、配信に向いた音量です。

SILENTIQ を入れると声は約0.04秒遅れます。Web カメラの口元と声をそろえたいときは、カメラのソースに「映像の遅延(非同期)」フィルタを足して 40ms 遅らせます。

歌枠の順番

  1. SILENTIQ(MODE は VOCAL)
  2. VELVOX(雑談と同じ設定のままでよい)
  3. VELCANTO

歌声に NARRATION をかけると、伸ばした音やビブラートが削られることがあります。MODE を VOCAL にするのはそのためです。

VELCANTO は、伴奏に歌声が埋もれるなら SHINE を上げます。迷ったらプリセットの DEFAULT から始めて、しっとりした曲なら BALLAD、伴奏が厚くて速い曲なら UPTEMPO に替えます。VELVOX と一緒に使うときは、SHINE を既定の40より下げ、聴きながら合わせます。

SILENTIQ の VOCAL は約0.06秒遅れるので、配信では PC から流している伴奏より歌が少し後ろにずれます。伴奏を流しているソースの「同期オフセット」に 60ms を入れると揃います(音声ミキサーの歯車 →「オーディオの詳細プロパティ」)。

雑談と歌枠を1つの配信でやるとき

上の歌枠の順番で挿しておき、トークのときは VELCANTO のフィルタを目のアイコンで無効にします。VELVOX は残るので、話し声は雑談と同じ音になります。

VELCANTO Pro なら、プラグインの SING ボタンをオフにするだけで素の声に戻ります。響きとエコーは途中で切れずに鳴り終わります。

有料版が要るのはこんなとき

  • SILENTIQ 製品版(¥1,000)… 配信本番で使うなら必要です。買う前に、試用版で自分の部屋のノイズが消えるかを確かめられます。
  • VELVOX Pro(¥500)… 小声と叫び声の音量差を揃える CONTROL と、話していない間の雑音を消す NOISE が加わります。AUTO も付いていて、10秒話すだけで WARMTH・PRESENCE・CONTROL・NOISE の4つを決めてくれます。ゲーム実況で叫ぶ人向けです。
  • VELCANTO Pro(¥500)… 外れた音だけを近い音へ寄せる PITCH が加わります。合っている音や節回しはそのままです。ほかに、1コーラス歌うと曲の音を聞き取って KEY を選ぶ AUTO、ケロケロした声の ROBOT、上で書いた SING が付きます。プリセット7種類と設定の保存もできます。サビで音が少し外れるのが気になる人向けです。

ダウンロード・購入

マイクそのものを替えるなら ダイナミックマイクおすすめ10選、Windows と Mac で迷っているなら 配信するなら Windows と Mac どっち? を見てください。

※ 価格は2026年11月時点の BOOTH の販売価格です。遅延の値は各プラグインのマニュアルによります(SILENTIQ は 48kHz での値)。atkAudio Plugin Host は Tonecraft Tokyo の製品ではありません。