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スマホ配信の音割れは、音がスマホに届く前に大きくなりすぎて、上限で削られている状態です。配信アプリの設定で直すものではありません。マイクとスマホの間にあるミキサーや受信機のゲインを下げます。割れた音は、あとから音量を下げても元に戻りません。
この記事のポイント
- AG03MK2 は、強く歌ったときに PEAK LED が一瞬点灯する程度が適正、とヤマハの取扱説明書にあります。点きっぱなしなら GAIN を下げます
- ヘッドホンの音量つまみを下げても、配信に出ている音割れは直りません
- DJI Mic 3 は送信機の入力ゲインを下げられるうえ、適応ゲイン制御の自動モードで急に大きくなった声も抑えます
音割れとは何が起きているか
デジタルの音には、これ以上は記録できないという上限(0 dBFS)があります。そこを超えた部分は平らに削られて、ザラッとした歪みになります。これが音割れ(クリップ)です。
削られた波形は、配信アプリや視聴者の側で音量を下げても元の形に戻りません。小さくなった音割れが聞こえるだけです。
デジタルで音量を下げる処理は、それぞれの音の値に同じ数を掛ける計算です。上限で平らにそろえられた部分は、掛け算をしても低い平らな山になるだけです。削られた分の値はもう残っていません。
例外は 32bit フロート(浮動小数点)です。フロートで扱っている間は 0 dBFS を超えた値も保持されるので、あとで下げれば元の波形に戻せます。DJI Mic 3 の 32bit フロート内部収録はこの仕組みですが、マニュアルでは送信機が単独で録音するファイルの機能として書かれています。配信に流れている音を直すものではありません。
割れる場所がデジタルの手前のこともあります。プリアンプや AD 変換器に入る時点で信号が大きすぎると、そこで歪みます。この場合は後段で何をしても直らないので、入力そのものを小さくします。AG03MK2 の LINE スイッチは、この段階で入力を減衰させるためのものです。
録音したファイルなら、iZotope RX の De-clip のように、削られた山を前後の波形から推定して描き直すツールがあります。元の値が戻るわけではなく、前後から補っているだけです。配信中の音には使えません。
どこで音量を下げるか
マイクの小さな信号を持ち上げるのがゲインです。スマホ配信では、これをミキサー(オーディオインターフェース)かワイヤレスマイクの受信機・送信機で決めています。iPhone にも Android にも、外付けマイクの入力音量を下げる設定は公式に案内されていません。
| 使っている機材 | まず触るところ |
|---|---|
| AG03MK2 などのミキサー | マイクのチャンネルの GAIN つまみ |
| DJI Mic 3 | 送信機の入力ゲイン、受信機の出力ゲイン |
| DJI Mic Mini / Mini 2 | 受信機のダイヤル |
| USB マイクを直接挿している | マイク本体にゲインのつまみがあればそれ。無ければ口からの距離 |
AG03MK2 で割れるとき
ヤマハの AG03MK2 / AG06MK2 ユーザーガイドでは、「困ったときは」に「音が歪む、雑音が入る」の確認項目がまとまっています。
| 確認すること | 直し方 |
|---|---|
| チャンネルの PEAK LED が点いていないか | GAIN つまみを左に回して下げる。強く歌ったときに一瞬点く程度が目安 |
| GAIN を左に回しきっても歪む | LINE スイッチをオンにして入力を減衰させる |
| チャンネル2/3(キーボードなど)が歪む | GAIN HIGH LOW スイッチを LOW にする |
| レベルメーターの PEAK(赤)が点く | 各チャンネルのレベルつまみを下げる。ヘッドホンやスピーカーのつまみでは消えない |
| BGM を流している機器の音が割れる | つないだ機器側の音量を下げる。AUX 端子(4極ミニ)につないだスマホなどの音量は、AG03MK2 のレベルつまみでは変えられない |
取扱説明書には、PEAK LED はクリップレベルの −3 dBFS に達したときに点くとあります。点いた時点ではまだ割れていないこともありますが、余裕はほとんど残っていません。
COMP/EQ ボタンは、初期設定が配信向けで、入力レベルのばらつきを抑えると書かれています。オンにしておくと音量の上下は小さくなりますが、GAIN が高すぎる状態を直すものではありません。AG03MK2 で BGM を流す配線は スマホ配信でBGMを流す3つの方法 にまとめています。
DJI Mic で割れるとき
DJI Mic 3
DJI Mic 3 のユーザーマニュアルには、送信機の入力ゲインについて「レベルバーが赤くなったらゲインを減少させ、オーディオの歪みやクリッピングを防ぎます」とあります。受信機の出力ゲインも別に下げられます。「音が露出オーバーの場合は、まず受信機のゲインを下げてください」とも書かれています。
適応ゲイン制御には自動モードがあり、マニュアルでは「突然のスパイクを抑制して、バランスの取れた一貫したオーディオ出力を保証します」と説明されています。笑い声や叫び声で急に大きくなる配信では、こちらを使います。
DJI Mic Mini / Mini 2
受信機にダイヤルがあり、回して音量を調整します。ただ、スマホにつないだときにこのダイヤルが効くかどうかは、マニュアルに書かれていません。下げたらテスト配信をして、割れが消えたかを聞いて確かめます。Mini と Mini 2 の公式資料には、自動でゲインを抑える機能の記載がありません。
送信機を襟に付けると口との距離が近いので、大声を出すと音が大きく入ります。割れるときは、送信機を胸のあたりまで下げるだけでも変わります。
DJI Mic のスマホへのつなぎ方は DJI Micをスマホにつなぐ方法 にあります。
Discord で通話しながら配信するとき
Discord のサポート記事では、声の問題があるときは「ノイズ抑制」「エコー除去」「ノイズ低減」「音量調節の自動化」などを有効・無効に切り替えて、変化を確かめるよう案内しています。ミキサーや受信機で音量を決めているなら、「音量調節の自動化」を切って、割れ方が変わるか試します。
YouTube、TikTok、Twitch のモバイル配信については、音量や音割れに関する設定の公式な案内は見つかりませんでした。これらのアプリで割れるときは、アプリの設定を探す前に、上で書いたミキサーや受信機のゲインを下げます。
割れたときに確かめる順番
- ミキサーの PEAK LED、DJI Mic 3 のレベルバーを見て、赤が点いていないか確かめる
- 点いていたら、ミキサーの GAIN、または送信機・受信機のゲインを下げる
- BGM の音だけ割れるなら、BGM を流している機器の音量を下げる
- 下げきっても割れるなら、AG03MK2 の LINE スイッチをオンにするか、マイクと口の距離を離す
- テスト配信をして、自分の配信を別の端末で聞いて確かめる
音量が見える機材
ほかのスマホ用マイクは スマホ配信におすすめの外付けマイク5選 にあります。
PEAK LED とレベルメーターで割れているかが見える。スマホとは USB でも4極ミニでもつなげる
配信用ミキサーの在庫と価格を確認する
※ 掲載価格は2026年10月時点のものです。AG03MK2 は Rock oN の販売価格(ホワイト)、DJI Mic 3 は DJI 公式ストアの価格です。設定項目と説明は、ヤマハ「AG03MK2 / AG06MK2 ユーザーガイド」、DJI「DJI Mic 3 ユーザーマニュアル」「DJI Mic Mini 2 ユーザーマニュアル」、DJI 公式サイトの仕様、Discord 公式サポートに基づきます。購入前に各販売ページで最新の情報をご確認ください。

