Tonecraft Tokyo — Free VST3 Plugin

Insight Comp

ユーザーマニュアル

Insight Comp は、「音の変化を目で見て学ぶ」をコンセプトにした初心者向けコンプレッサープラグインです。
波形ビューワー(The Eye)・入出力特性グラフ(Ratio Graph)・ゲインリダクションメーターを備え、コンプレッサーの動作をリアルタイムで視覚的に確認しながら学習・制作できます。

1. クイックスタート

  1. コンプレッサーをかけたいトラックまたはバスに Insight Comp を挿入します。
  2. 音声を再生します。
  3. 上部ヘッダーの Preset コンボボックスからファクトリープリセットを選ぶか、各ノブを手動で調整します。
  4. The Eye(左上)で圧縮前後の波形の変化を確認します。
  5. Ratio Graph(右上)で入出力特性カーブを確認します。
  6. GR メーター(中段)でリアルタイムのゲインリダクション量を確認します。
  7. A/B トグルで処理前後を切り替えて比較できます。

2. 画面構成

ヘッダーエリア(上端帯)

  • ロゴ — 製品ロゴを左端に表示します。
  • EXT SC — 外部サイドチェーンの有効/無効を切り替えます。ON 時はラベルがアクセントシアンに点灯します。
  • A/B — 処理前(Before)と処理後(After)をクロスフェードで切り替えます。ON 時はラベルがアクセントシアンに点灯します。メーター表示も連動します。
  • Normal / TranSp — 通常コンプモードとトランジェントシェイパーモードを切り替えます。
  • Preset — ファクトリープリセット(50件)を選択します。

The Eye(左上・波形ビューワー)

  • 入力波形(薄色)と圧縮後の波形(濃色)をリアルタイムに重ねて表示します。
  • Threshold Line(オレンジ線)をドラッグすることで、Threshold パラメータを直接操作できます。
  • 圧縮量が深くなるほど出力波形が垂直方向に「押し潰される」アニメーションで変化を視覚化します。

Ratio Graph(右上・入出力特性グラフ)

  • コンプレッサーの入出力特性カーブ(折れ曲がりグラフ)を表示します。
  • x 軸が入力レベル(-60〜0 dBFS)、y 軸が出力レベル(-60〜0 dBFS)です。
  • Threshold 点付近にニー(6 dB 固定幅)が描画されます。
  • Danger Zone インジケーターがグラフ右上に表示されます(後述)。

GR メーター(中段)

  • 現在のゲインリダクション量を横型バーで表示します。
  • カラーは圧縮量に応じて変化します:0〜-6 dB: ライムグリーン、-6〜-12 dB: アンバー、-12 dB 以下: レッド。
  • A/B がバイパス状態(Before)のときは、バーがグレーになり「— bypass —」と表示されます。

コントロールセクション(下段)

5つの列に分かれています。

  • DETECTOR:Threshold / Bass Focus
  • DYNAMICS(左):Ratio
  • DYNAMICS(右):Punch(Attack)/ Breath(Release)
  • OUTPUT:Out Gain / Mix / Auto Gain
  • ADVANCED:Lookahead / Oversampling

各ノブの名前ラベルはノブのアクセント色と一致しています。値ラベルはグレー系で表示されます。

Info Bar(最下段)

  • ホバー中のパラメータの説明を表示します。
  • TIPS トグルがオフのときは説明表示を無効にし、プレースホルダーのみ表示します(既定: オフ)。
  • 外部サイドチェーン未接続時などは自動で警告テキストを表示します。

3. パラメータ詳細

DETECTOR セクション

パラメータ 範囲 デフォルト 説明
Threshold -60.0 〜 0.0 dBFS -18 dBFS コンプレッサーが動作を開始するレベル。このラインを超えた信号に圧縮がかかります。The Eye 上のオレンジ線と連動します。
Bass Focus 20 〜 500 Hz 80 Hz サイドチェーン信号に適用するハイパスフィルターのカットオフ周波数。低域のキックなどに反応しにくくなり、安定した圧縮が得られます。

DYNAMICS セクション

パラメータ 範囲 デフォルト 説明
Ratio 1.0 〜 20.0 4.0 圧縮比率。4 なら Threshold を 4 dB 超えた分が 1 dB の出力増加になります。値が大きいほど強い圧縮になります。
Punch(Attack) 0.1 〜 200 ms 15 ms コンプレッサーが反応するまでの時間。速いと瞬間的なアタックも潰れ、遅いとトランジェントをそのまま通します。
Breath(Release) 10 〜 2000 ms 120 ms 圧縮が解除されるまでの時間。短いとポンピング感、長いと自然なリリース感が得られます。

OUTPUT セクション

パラメータ 範囲 デフォルト 説明
Out Gain -12.0 〜 +12.0 dB 0 dB 出力段のゲイン。圧縮による音量低下を補正します。Auto Gain オン時は自動調整されます。
Auto Gain ON / OFF ON ゲインリダクション量に応じて出力ゲインを自動補正します。圧縮前後の知覚音量をそろえたいときに便利です。
Mix 0 〜 100 % 100 % ドライ(原音)とウェット(処理後)のブレンド比。100% で完全にウェット、0% でバイパス。パラレルコンプに活用できます。

ADVANCED セクション

パラメータ 選択肢 デフォルト 説明
Lookahead 0 / 2 / 5 / 10 ms 0 ms コンプレッサーが信号を先読みする時間。Lookahead を有効にするとレイテンシーが発生します(DAW に自動報告)。
Oversampling 1x / 2x / 4x 2x 内部処理のオーバーサンプリング倍率。値が高いほど高品質ですが CPU 負荷が増加します。

TranSp モード(トランジェントシェイパー)

ヘッダーの TranSp ボタンでモードを切り替えると、Punch / Breath ノブがトランジェントシェイパー専用パラメータになります。

パラメータ 範囲 説明
Punch Amount -100 〜 +100 アタックの瞬発力を強調(+)または抑制(-)します。
Sustain Amount -100 〜 +100 サステイン部分を強調(+)または抑制(-)します。

4. 特殊機能

A/B 比較

  • A/B トグルをオンにすると、コンプレッサー処理前の原音(Before)を出力します。
  • オフにすると処理後(After)に戻ります。切り替えはクリックノイズを防ぐため 5 ms でクロスフェードします。
  • A/B 切り替え中は GR メーターが「— bypass —」表示になります。
  • ドライ信号はウェット経路と時間軸を揃えるために遅延補正されます(タイミングがずれた比較にはなりません)。

外部サイドチェーン(EXT SC)

  • EXT SC をオンにすると、外部サイドチェーン入力でコンプレッサーをトリガーできます。
  • 外部 SC バスが DAW で正しく接続されていない場合、Info Bar に警告が表示されます。
  • 対応は DAW のバスレイアウト設定に依存します。

Danger Zone インジケーター

Ratio Graph 右上に表示されます。現在の設定が問題になる可能性がある場合に警告メッセージを表示します。

条件 警告内容
Ratio > 8、Attack < 5 ms ⚠ 過圧縮:音が薄くなりやすい設定です
Threshold ≤ -40 dBFS かつ Ratio > 4 ⚠ スレッショルドが低すぎます。常に圧縮がかかります
Release < 20 ms かつ Ratio > 6 ⚠ リリースが短すぎます。ポンピングが発生する可能性があります

Tube Harmonics(内部処理)

コンプ後・Output Gain 前に常時動作する内部サチュレーションです。ユーザー向けパラメータはありません。

  • 低域(Bass Focus 設定と連動した周波数以下)に偶数次倍音を付加します。
  • ゲインリダクションが深くなるほど倍音量が増加し、圧縮がかかっていないときはほぼゼロになります。
  • 真空管アンプに近い自然なキャラクターを低域に加えます。

5. ファクトリープリセット

プリセット名 Threshold Ratio Punch Breath 用途
Tight Kick -24 dB 6:1 15 ms 80 ms キック低音引き締め
Snappy Snare -18 dB 4:1 8 ms 60 ms スネアアタック強調
Gentle Bass -20 dB 3:1 30 ms 200 ms ベースラインのなだらか制御
Vocal Glue -16 dB 3:1 20 ms 150 ms ボーカルのムラ補正
Bus Glue -12 dB 2:1 40 ms 300 ms バストラックの接着剤
Learning: Step 1 -18 dB 4:1 15 ms 120 ms 初期設定・デモ
Learning: Pump -24 dB 8:1 5 ms 50 ms ポンピング効果体験
Parallel Crunch -20 dB 10:1 5 ms 80 ms Mix 40% でパラレルコンプ

6. 使い方のヒント

コンプレッサーを初めて使う場合

  • まず Learning: Step 1 プリセットを読み込み、The Eye と Ratio Graph で動作を確認します。
  • Threshold を下げていくと The Eye の波形が押し潰されていく様子が分かります。
  • TIPS をオンにして各パラメータにホバーすると説明が Info Bar に表示されます。

ポンピングを体験したい場合

  • Learning: Pump プリセットを試します。Ratio 高め・Punch(Attack)短め・Breath(Release)短めでポンピング効果が得られます。
  • Danger Zone インジケーターが表示されたら、どの設定が問題かを確認できます。

パラレルコンプレッション

Preset:  Parallel Crunch
Mix:     40 %
Ratio:   10:1
Auto Gain: ON

Mix を 100% 未満にすることで、原音の質感を保ちながら圧縮感を加えられます。
A/B トグルで処理前後を比較しながら Mix 量を調整するのが効果的です。

ドラム・バス処理の目安設定

Preset:  Bus Glue
Threshold: -12 dBFS
Ratio:     2:1
Punch:     40 ms
Breath:    300 ms
Auto Gain: ON
Lookahead: 2 ms

7. トラブルシューティング

  • The Eye が動かない
    • トラックに信号が入っているか確認してください。
    • 挿入先(トラック/バス)が正しいか確認してください。
  • 音が出ない / 無音になる
    • A/B トグルの状態を確認してください。
    • Mix が 0% になっていないか確認してください。
  • 外部 SC が機能しない
    • DAW 側でサイドチェーン入力バスを正しくルーティングしているか確認してください。
    • EXT SC がオンになっているか確認してください。
    • Info Bar に警告メッセージが表示されていないか確認してください。
  • TIPS が ON なのに説明が出ない
    • パラメータのノブやボタンにカーソルをホバーしてください。
  • Lookahead を有効にするとレイテンシーが発生する
    • これは仕様です。DAW にレイテンシー値が自動報告されます。DAW 側のレイテンシー補正(PDC)が有効になっているか確認してください。
  • プリセット切り替え直後に音が歪む
    • プリセット変更直後に一瞬発生する場合がありますが、内部スムーザが自動的に整合します。

8. オートメーション用パラメータ ID

パラメータ ID 内容
threshold スレッショルド(dBFS)
bass_focus Bass Focus(Hz)
ratio コンプレッション比率
attack Punch(アタック)(ms)
release Breath(リリース)(ms)
output_gain 出力ゲイン(dB)
auto_gain Auto Gain ON/OFF
mix ドライ/ウェットミックス(%)
lookahead ルックアヘッド(0/2/5/10 ms)
oversample オーバーサンプリング(1x/2x/4x)
transient_mode TranSp モード ON/OFF
punch Punch Amount(TranSp モード)
sustain Sustain Amount(TranSp モード)
ext_sidechain 外部サイドチェーン ON/OFF
ab_bypass A/B バイパス(Before/After)