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歌ってみたのボーカルが「こもる」「浮く」「ジリジリする」とき、EQの数値を探すより先に、その症状がどの工程で生まれたかを見分けたほうが早く終わります。混ぜて直せるものと、録り直さないと直らないものが混ざっているためです。

その症状はどの工程で生まれたか

症状 主な原因の工程 ミックスで直るか
こもる、抜けない 録り+混ぜ 直ることが多い
声だけ浮く、オケになじまない 混ぜ 直る
ジリジリする、サ行が刺さる 録り 軽減まで
音量がバラつく 歌+混ぜ 直る
声が細い、薄い 歌+録り ほぼ直らない

混ぜで直る症状から手を付けます。録りが原因のものにEQやコンプを重ねると、こもりを取ったつもりでサ行が刺さります。それを抑えると今度は引っ込む、という往復が始まります。

こもる、抜けない

中低域が多すぎるか、高域が足りないかのどちらかです。原因はたいてい録りにあります。マイクに近づきすぎたときの近接効果と、部屋の反射です。

混ぜでの対処は引き算から入ります。200〜400Hzあたりを少し削ると輪郭が出ます。それでも足りなければ8kHz以上をシェルフで持ち上げます。ただし数値を先に決めないでください。同じ「こもる」でも、声質とマイクと部屋で削る帯域は変わります。

このとき、ボーカルをソロにして追い込まないでください。ソロで気持ちよく鳴る設定は、オケに戻すと痩せて聞こえます。オケを鳴らしたまま、EQをオンオフして判断します。帯域の考え方はイコライザー完全攻略ガイドにまとめてあります。

声だけ浮く、オケになじまない

ボーカルとオケが別々の場所で鳴っているように聞こえる状態です。リバーブの種類を替えても直りません。

  • リバーブをオケと共有しているか。ボーカル専用に別のリバーブを立てると、声だけ違う部屋にいる音になります
  • 音量の幅が広すぎないか。コンプで詰めていないと、大きいところだけ前に飛び出します
  • オケ側に居場所を作ったか。ボーカルを持ち上げるのではなく、ギターやシンセの中域を削って空けます

2つ目が原因のことが多いです。コンプの設定に迷うならコンプレッサー完全攻略ガイドを、製品選びはコンプレッサープラグイン5選徹底比較を見てください。

ジリジリする、サ行が刺さる

録音時に歪んでいるものと、サ行の子音が強いもので対処が分かれます。

録音レベルが振り切れていた素材は、後段では直りません。波形の頭が平らに潰れていたら録り直します。オーディオインターフェースの入力ゲインを下げ、いちばん大きく歌ったところでピークに余裕が残る位置に合わせます。機材から見直すならオーディオインターフェース おすすめ5選が参考になります。

サ行が刺さるほうは、ディエッサーで抑えられます。効かせすぎると舌が回っていないような発音になるので、刺さる箇所だけを狙います。製品はディエッサー おすすめ5選にまとめています。口を離すときのペチャッという音が気になる場合は、ディエッサーではなくリップノイズの除去の話になります。

音量がバラつく

Aメロが聞こえないのにサビでうるさい、という状態です。コンプで全体を潰して均そうとすると、息やノイズまで持ち上がってきます。

先にオーディオを切って手で音量を書き、それでも残る細かい凹凸をコンプに任せる順番のほうが素直に仕上がります。手作業の音量調整はプラグインでは代われません。

作業の順番

順番には流派がありますが、迷ったら次の並びで進めれば大きく外しません。

順 作業 目的
1 不要部分とノイズの整理 歌っていない区間を消す
2 ピッチとリズムの修正 音程と発音のタイミングを揃える
3 EQ(引き算) こもりと濁りを取る
4 コンプ 音量の幅を詰める
5 ディエッサー サ行を抑える
6 リバーブ・ディレイ オケと同じ空間に置く
7 音量の書き込み セクションごとの聞こえ方を整える

2番のピッチ修正は、ソフトによって作業感がかなり違います。ピッチ補正ソフトまとめとAuto-Tune vs Melodyne 徹底比較で違いを確認できます。

直ったかどうかが分からないとき

自分のミックスが良くなったのか悪くなったのかを判断できないと、どの手順を覚えても止まります。

理由は2つあります。1つは環境です。再生している機材が低域を膨らませていたり高域を削っていたりすると、直したかどうかが分かりません。まずモニタリングヘッドホンやモニタリングイヤホンで聞こえ方を揃えます。

もう1つは、自分の声を客観的に聴けないことです。何十回も聴いた自分の歌は、こもっているのが部屋のせいなのか、マイクのせいなのか、歌い方のせいなのか、分けて聴けなくなります。これは機材を買っても解決しません。この構造についてはDTMは独学で無理?で詳しく書いています。

人に聴いてもらうという選択肢

単発で意見がほしいだけなら、ココナラなどで個人に依頼する手もあります。継続して見てもらいたい、あるいは歌そのものも直したい場合に、教室が選択肢に入ります。

FUKURAMU MUSIC SCHOOLの場合

横浜駅から徒歩3分の音楽教室で、ボイトレを主軸にしながら「ボカロ・歌ってみた教室」「DTM教室」「レコーディングエンジニアレッスン」が別々のコースとして用意されています。オンラインレッスンにも対応していて、画面共有で自宅の環境のまま受けられます。

  • ボイトレと編集(DTM)のレッスンを回ごとに組み合わせられます。公式サイトには「今日は歌のレッスン」「次回は機材の使い方を重点的に」という進め方が例として挙げられており、歌と編集のどちらに原因があるか分からない段階でも片方に決めなくて済みます
  • レコーディングに追加料金がかかりません。公式サイトが挙げている使用機材例はマイクがNeumann U87、ヘッドアンプがNEVE 1073、コンプレッサーがUNIVERSAL AUDIO 1176LNです

同じ歌をその環境で1回録ってみれば、こもりの原因が部屋なのか歌い方なのかが分かります。自宅で機材を買い足しながら探るより早いです。

レッスンで扱う範囲も、録音のやり方、ピッチとリズムの修正、コーラスの作り方、EQやコンプの使い方までと明記されています。この記事で挙げた症状はひととおり相談できます。

料金は公式サイトに記載のとおりです(2026年9月時点・すべて税込)。中学生〜大人のマンツーマン、1回60分で、コースによる金額差はありません。

コース 月額 1回(60分)あたり
月2回 13,200円 6,600円
月3回 17,930円 約5,980円
月4回 22,440円 5,610円
追加レッスン1回 5,940円 5,940円

年会費と教材費はかかりません。入会金は無料体験レッスンを受けると0円になります(2026年9月30日受付分まで)。通常いくらかかるかは公式サイトに書かれていないので、体験の申し込み時に確認してください。

レッスン室の無料レンタルもありますが、公式サイトに「月のレッスン回数によって利用条件が異なります」と注記があります。使う前提で考えるなら、条件を先に聞いておくほうが確実です。

体験レッスンで確認しておくこと

無料体験は1回60分です。ミックスの相談として使うなら、確認するのは次の4点です。

  • 作りかけのミックスを持ち込んで、具体的に指摘してもらえるか
  • 自分のDAWの画面をそのまま共有して見てもらえるか
  • 歌のレッスンと編集のレッスンを、月の中で混ぜられるか
  • レコーディングを通常のレッスンで使えるのは、どの回数プランからか

1つ目で「ここが刺さっている」「ここでオケに埋もれている」と言ってもらえるなら、独学で止まっていた理由がその場で分かります。

まとめ

こもりと浮きはミックスで直ります。サ行の刺さりは軽減できますが、歪んだ録りは直りません。声が細いのは録り方と歌い方の話で、プラグインを増やしても変わりません。

手順をひととおり試しても良くなった実感がないなら、詰まっているのは技術ではなく判断のほうです。自分の歌を録り慣れた人に1時間聴いてもらうほうが、次に買うプラグインを探すより早く前に進めます。