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sonible の smart:chain は、EQ・コンプ・ゲート・ディエッサー・サチュレーターなどを1本にまとめたチャンネルストリップです。smart:EQ や smart:comp と同じように、素材を聴かせると設定の出発点を作ってくれます。ほかの smart: シリーズと違うのは、全トラックに挿したときの動きです。トラック同士が通信して、ラフミックスの音量バランスまで作ります。1トラックだけ使うなら、機能の半分は使わないままです。

POINT
この記事のポイント
  • 中身はゲート→EQ→ディエッサー→インプットライダー→コンプ→サチュレーター→クリッパーの7段です。1回の学習で全段の初期設定が決まり、あとから全部手で触れます
  • Auto Leveling(自動の音量バランス)は、学習済みのインスタンスが2つ以上ないと使えません。実用的なバランスを出すには、関係するトラック全部に挿して学習させる必要があります
  • smart: シリーズを1本でも持っていれば、Plugin Boutique のクロスグレード版が¥9,980です(2026年9月時点)。通常版より先にこちらを確認してください
  • Windows は VST3 と AAX、Mac はこれに AU が加わります。リバーブやディレイは入っていないので、空間系は別に用意します

7つの処理が決まった順番で並ぶ

音はこの順で通ります。マニュアルには順番を入れ替える操作の記載がありません。

順 モジュール 役割
1 Gate 音と音の間のノイズやかぶりを下げる
2 Equalizer 学習で決まる smart:filter と、手で置く通常のフィルター
3 De-Ess / De-Harsh 声ならサ行、ほかの楽器なら耳に痛い共振を抑える
4 Input Rider コンプの手前で、長い時間の音量の波をならす
5 Compressor レシオ・スレッショルド・アタック・リリースを学習で決める
6 Saturator 倍音を足す。Clean / Aggressive / Smooth の3種類
7 Clipper 最後にピークを頭打ちにする

公式サイトは「8つの処理」と数えています。マニュアル上の処理モジュールは7つで、これに Auto Leveling を足した数です。

学習が終わった直後は、Gate と De-Esser はオフになっています。必要なら自分で入れます。既定でオンにする設定は Settings にあります。

Low Latency モードに切り替えると、Gate、De-Ess / De-Harsh、Input Rider、オーバーサンプリングが使えなくなります。

1トラックでの使い方

  1. トラックに挿して、素材に合うプロファイルを選ぶ。合うものがなければ Universal
  2. 曲の代表的な部分を再生して Learn を押す。無音の多い区間は避ける
  3. 学習が終わったら、EQ の Warm / Bright と、コンプの Dynamic / Dense の2本のスライダーで方向を決める
  4. 各モジュールをオンオフしたり、細かく詰めたりする

ここまでは smart:EQ 4 や smart:comp 3 とほぼ同じ感覚です。違うのは、1回の学習でEQとコンプとその周辺がまとめて決まることです。

コンプの数値を手で動かすと、Dynamic / Dense スライダーは学習結果とのつながりが切れます。スライダーをもう一度触ると、手で動かした値は学習結果に戻されます。手で追い込んだあとにスライダーを触らないこと。

EQやディエッサーを手で直したあとは、Re-Derive でコンプの設定だけを計算し直せます。学習はやり直されません。

全トラックに挿すと使える機能

Auto Leveling

学習済みのインスタンス同士の関係を見て、ジャンルに合わせたラフミックスの音量を作ります。マニュアルははっきり「最終的なバランスを決めるものではない」と書いています。ミックスの最初にやるゲイン調整を省く機能です。

使えるようになる条件は、学習の済んだインスタンスが2つ以上あること。ただし2つで意味のある結果が出るわけではありません。関係するトラック全部に挿し、それぞれ正しいプロファイルで学習させます。そうしてはじめて全体のバランスになります。学習していないトラックは警告マークで分かります。

出てきたバランスは3段階で直せます。

  • Mix Trim … ミックス全体の音量を上下させる。トラック間の比率は変わらない
  • Group Trim … グループ単位でまとめて上下させる
  • Output Trim … トラック1本ずつの微調整

ジャンルを変えると自動の音量は計算し直されますが、手で入れたトリムの値は残ります。

グループと Front / Middle / Back

インスタンスをグループにまとめると、1つのウィンドウから全トラックの設定を開いて直せます。DAWのプラグイン画面を1本ずつ開き直す必要がなくなります。1グループに入るのは10インスタンスまでです。

グループの中では、各トラックを Front / Middle / Back の3段に置けます。段を動かすと、EQとコンプの処理がその位置に合わせて変わります。Auto Leveling がオンなら音量も動きます。ボーカルを Front、パッドを Back というように置き場所で決められます。パラメーターを何か所も触らずに前後が分かれます。

買う前に確認しておくこと

  • 対応形式は Windows が VST3 / AAX、Mac が VST3 / AU / AAXです。OS は Windows 10 以降(64bit)、macOS 11 以降。Apple Silicon はネイティブで動きます
  • GPU は OpenGL 3.2 以上が必要です。画面が真っ白になるときは Settings で OpenGL をオフにする、とマニュアルにあります
  • ライセンスは1本で2台のPCまで。iLok にも移せますが、第1世代の iLok には対応していません
  • 体験版は30日間、機能制限なしで使えます。ただし体験期間中は起動のたびにネット接続が必要です。製品版は認証が終わればオフラインで動きます
  • オーバーサンプリングはCPU負荷が大きく上がると書かれています。全トラックに挿す使い方と組み合わせるなら、必要なトラックだけにします
  • リバーブ、ディレイ、パンは入っていません。空間の前後は Front / Middle / Back で作りますが、残響そのものは別のプラグインです
  • クリッパーはピークの保険です。マニュアルも「コンプや音量バランスの代わりではない」と書いています。マスターのリミッターは別に要ります
  • マニュアルは英語です

価格と買い方

買い方 価格 条件
Plugin Boutique 通常版 ¥15,587(通常 ¥30,980) なし
Plugin Boutique クロスグレード版 ¥9,980(通常 ¥30,980) smart: シリーズの製品を1本持っていること
sonible 公式 99ユーロ(通常 179ユーロ) 学生・教員は40%引きの教育版あり

Plugin Boutique の値下げは、2026年9月時点の表示で9月28日までです。

smart:EQ 4 や smart:comp 3 を持っている人にとって新しいのは Auto Leveling とグループ、Front / Middle / Back の部分です。1トラックずつ smart:EQ と smart:comp を挿して満足しているなら、そこに1万円を払う価値があるかで決めてください。

向いているのは、曲ごとにラフミックスを組むところで毎回時間を取られている人です。全トラックに挿して学習させれば、音量と前後の配置まで決まった状態から始められます。ボーカル1本だけを整えたいなら、単体のEQとコンプで足ります。迷ったら30日の体験版で、実際の曲の全トラックに挿してみるのが早いです。

ボーカルの処理を症状から詰めたい場合は歌ってみたのボーカルミックスを症状別に直す記事を、コンプを単体で選ぶならコンプレッサープラグイン5選を見てください。

smart:chain の価格を確認する

Plugin Boutique で smart:chain を見る

※ 掲載価格は2026年9月時点のものです。円建て価格は Plugin Boutique、ユーロ建て価格は sonible 公式サイトの表示です。機能と仕様は sonible 公式の製品ページと smart:chain マニュアル(v1.0.2 同梱・英語)に基づきます。購入前に各販売ページで最新の情報をご確認ください。