Tonecraft Tokyo — Standalone App

HEXTRACT

ユーザーマニュアル — v1.0.0

製品ページ — 公式サイト ↗

HEXTRACT は、1 曲のミックスを ドラム / ベース / その他 / ボーカル / ギター / ピアノ の 6 つのパートに分け、さらに各パートを MIDI に起こすアプリです。インターネットに接続せず、お使いの PC の中だけで処理します。音源が外部に送られることはありません。

リミックス、カラオケ音源づくり、耳コピ、練習用の一部パート抜きなどに使えます。

1. クイックスタート

  1. HEXTRACT.exe を起動します。
  2. 音声ファイルをウィンドウにドラッグ&ドロップします。曲名・長さ・サンプルレートが表示されます。
  3. SEPARATE を押します。進捗バーが動き、終わると 6 つのパートの波形が表示されます。
  4. 再生ボタンで確認します。各パートの M(ミュート)と S(ソロ)、音量スライダーは再生しながら操作できます。
  5. 1 パートだけ保存するときは行の SAVE、6 パートすべてなら EXPORT ALL を押します。
  6. 楽譜として使いたいときは EXPORT MIDI を押します。パートごとにトラックが分かれた MIDI ファイルが 1 つできます。

書き出すときに保存先フォルダを尋ねます。選んだフォルダの中に <曲名>_stems フォルダを作って保存します。尋ねるのは曲ごとに 1 回だけで、同じ曲の 2 回目以降は同じ場所に書き出します。

2. 画面構成

INPUT(上段)

  • 読み込んだ曲の情報と、元の波形が表示されます。
  • SEPARATE で分離を開始します。処理中は CANCEL に変わり、いつでも中断できます。

STEMS(中段)

  • 分離した 6 パートが 1 行ずつ並びます。パートごとに色が付いています。
  • M はそのパートを消し、S はそのパートだけを鳴らします。S は M より優先されます。
  • 波形をクリックすると、その位置から再生できます。6 つの波形と元波形は時間軸が揃っています。
  • SAVE でそのパートだけを音声として、MIDI でそのパートだけを MIDI として書き出します。
    ドラムの MIDI は押せません。

OTHER の中身がピアノかギターだったときは、そのパートにまとめます。
分離が終わったときに「OTHER は PIANO と判定し、PIANO に合流」のように画面へ表示します。
このとき OTHER の波形は平らになり、その音は合流先のパートから鳴ります。

トランスポート(下段)

  • 再生・停止と、再生位置のスライダー、経過時間が並びます。
  • 停止すると先頭に戻ります。一時停止は再生ボタンをもう一度押してください。

3. パラメータ詳細

各項目にマウスを乗せると、画面上部の行に説明が表示されます。

shifts

曲の位置を少しずらして何回か分離し、その平均を取ります。その回数です。

  • 値を 1 増やすごとに、処理時間がおおよそ 1 回分ずつ増えます。
  • 0 はずらさずに 1 回だけ処理します。同じ曲を何度分離しても必ず同じ結果になります。
  • 2 以上にすると分離はわずかに良くなりますが、聴いて分かるほどの差にはなりません。そのわりに処理時間は倍以上になります。
  • 2 以上ではずらす量が毎回ランダムなので、同じ設定でも実行するたびに少しずつ違う結果になります。
  • デフォルト: 0

overlap

曲を少しずつ区切って処理する際の、区切りの重なり具合です。

  • 大きくすると継ぎ目がなめらかになりますが、処理時間が増えます。
  • デフォルト: 0.25

device

本製品は CPU で処理します。選ぶ項目はありません。

グラフィックボードは使いません。搭載されていても処理時間は変わりません。

OUTPUT

書き出すファイルの形式です。

  • WAV 24bit / WAV 32bit float / FLAC 24bit / MP3 から選べます。
  • DAW に取り込むなら WAV 24bit か FLAC 24bit をおすすめします。
  • デフォルト: WAV 24bit

SR

書き出すファイルのサンプルレートです。

  • SOURCE は、読み込んだ曲と同じサンプルレートで書き出します。
  • デフォルト: SOURCE

SOURCE のまま書き出すと、元の曲とサンプル数まで一致します。DAW で元の曲と並べたとき、頭がぴったり揃います。

4. 推奨設定

ふだん使い

shifts: 0
overlap: 0.25
OUTPUT: WAV 24bit
SR: SOURCE

結果を変えて試したいとき

shifts: 2
overlap: 0.50

ギターとピアノは目安としてお使いください。この2つは、他の楽器と同じ音域で鳴っていると互いに混ざることがあります。特にギターとピアノが同時にコードを弾いている曲では、片方の音がもう一方に入り込みやすくなります。ドラム・ベース・ボーカルは安定して分離できます。

shifts を上げても、ギターとピアノの混ざりは直りません。どちらのパートに振り分けるかは分離の段階で決まるため、あとから設定では戻せません。全体の分離はわずかに良くなりますが、聴いて分かる差にはならず、処理時間だけが大きく増えます。この目的では上げないでください。

5. MIDI に書き出す

EXPORT MIDI を押すと、分離した各パートを音符として読み取り、パートごとに 1 つずつ MIDI ファイルを書き出します。必要なパートだけを DAW に読み込めます。

  • 書き出し先は音声と同じ <曲名>_stems フォルダで、ファイル名は <曲名>_bass.mid のようにパート名が付きます。
  • 各ファイルのトラックには BASS GUITAR PIANO VOCALS OTHER と名前が付き、それらしい音色が最初から当たっています。
  • 曲のテンポを読み取って、音符を拍に合わせます。読み取ったテンポは MIDI ファイルにも書き込まれます。テンポは推定なので、曲によっては 1 BPM 弱ずれることがあります。DAW のグリッドに合わないときは、DAW 側で曲のテンポを指定し直してください。
  • 書き出しにかかる時間は 4 分の曲で 15 秒ほどです。
  • その楽器が曲に入っていないパートは、MIDI に含めません。波形が平らなパート(ギターの入っていない曲のギターなど)がこれに当たります。除外したパートは書き出し後に画面へ表示します。音声として書き出す場合は、6 パートすべてがファイルになります。

ドラムは MIDI にしません。打楽器には音の高さが無く、音符として書き出しても DAW でそのままは使えないためです。ドラムのリズムが必要なときは、音声として書き出したものをお使いください。

どのパートが合いやすいか

MIDI の正確さは、その前段の分離の出来にそのまま左右されます。

  • ベース・ボーカル … 単音で音域も離れているため、よく合います。
  • ギター・ピアノ … 目安としてお使いください。この 2 つは分離の段階で互いに混ざることがあり、その混ざりは MIDI にもそのまま出ます。同じ音域でコードを弾き合っている曲ほど影響が大きくなります。
  • その他 … 複数の楽器がまとめて入るため、和音として読み取られます。

耳コピの下書きとしてお使いください。そのまま完成品になるものではありません。特にギターとピアノは、DAW 上で音を確かめながら直すことを前提にしてください。

6. 対応フォーマット・動作環境

項目 内容
OS Windows 10 / 11 x64
処理時間の目安 4 分の曲で、分離が 1 分前後、MIDI が 15 秒前後(お使いの CPU によります)
読み込める形式 WAV / MP3 / FLAC / AIFF / OGG
書き出せる形式 WAV 24bit / WAV 32bit float / FLAC 24bit / MP3 / MIDI
インターネット 不要(オフラインで動作します)
グラフィックボード 使いません(CPU で処理します)

m4a / aac / wma には対応していません。これらは事前に WAV や MP3 に変換してからお使いください。

7. インストール・アンインストール

インストール

  1. ZIP を解凍します。
  2. お好きな場所にフォルダごと置いて、HEXTRACT.exe を起動します。インストール作業は不要です。

初回起動時に Windows の SmartScreen が「WindowsによってPCが保護されました」と表示することがあります。これはコード署名を行っていないためです。詳細情報 → 実行 で起動できます。

アンインストール

解凍したフォルダを削除するだけです。レジストリや他の場所にファイルを作りません。

8. トラブルシューティング

  • ファイルを読み込めない
    • m4a / aac / wma は非対応です。WAV や MP3 に変換してからお試しください。「この形式は非対応です」と表示された場合はこれに当たります。
  • 処理が遅い
    • 本製品は CPU で処理するため、4 分の曲でおおよそ 1 分かかります。グラフィックボードは使いません。既定の shifts: 0 が最短です。時間が延びるのは値を上げたときで、shifts: 2 と overlap: 0.50 の組み合わせでは約 3 倍(4 分の曲で 2 分半ほど)かかります。
  • ギターやピアノに他の音が混ざる/音が薄い
    • この 2 つのパートは目安としてお使いください。同じ音域で鳴っている楽器どうしは混ざることがあり、設定では改善しません。shifts を上げても実用上は変わりませんので、必要な部分だけを手で編集してお使いください。ドラム・ベース・ボーカルは安定しています。
  • MIDI の音が元の演奏と違う
    • まずギターとピアノをご確認ください。この 2 つは分離の段階で互いに混ざるため、MIDI にもその混ざりが出ます。ベース・ボーカルは比較的そのまま使えます。なお MIDI は楽譜なので、鳴らす音源によって音色は変わります。音色の違いは正常です。
  • MIDI が DAW のグリッドに乗らない
    • 読み取ったテンポが実際より 1 BPM 弱ずれていることがあります。DAW 側で曲のテンポを指定し直してください。テンポがはっきりしない曲では、拍を読み取れずクオンタイズを行わないこともあります。この場合は演奏どおりの位置に音符が並びます。
  • 波形が平らなのに、そのパートから音が聞こえる
    • 波形は音量をそのまま高さにしているため、小さく分離されたパートは、曲に入っていても平らに近く描かれます。S でそのパートだけを鳴らすと確かめられます。
  • 音が出ない
    • すべてのパートがミュートになっていないか、いずれかがソロになっていないかを確認してください。Windows の再生デバイス設定もあわせてご確認ください。
  • 書き出したファイルが元の曲と頭がずれる
    • SR を SOURCE にして書き出してください。元の曲とサンプル数まで揃います。

9. 注意事項

  • 本製品はサポートなし・現状渡しの無料配布(フリーウェア)です。
  • ソースコードは非公開です。
  • 本製品の著作権は Tonecraft Tokyo に帰属します。
  • 本製品のうち Tonecraft Tokyo が権利を有する部分について、改変・リバースエンジニアリング・再配布・転売を禁止します(配布は公式サイトからお願いします)。
  • 同梱している LGPL ライセンスのライブラリ(Qt / libsndfile / libsoxr)は、この制限の対象外です。これらのライブラリの改変、および改変を検証する目的でのリバースエンジニアリングを妨げるものではありません。本製品はこれらを実行ファイルに埋め込まず別ファイルとして同梱しているため、_internal フォルダ内の該当ファイルを置き換えれば、ご自身でビルドしたものに差し替えてお使いいただけます。どのファイルがどのライブラリに当たるか、差し替えの手順、ソースの入手先は、同梱の licenses/LGPL_libraries.txt に記載しています。
  • 商用・非商用を問わず無料でご利用いただけます。
  • 本製品は Demucs(MIT)、その学習済みモデル(MIT)、Basic Pitch(Apache License 2.0)とその学習済みモデル(Apache License 2.0)、PySide6 / Qt(LGPL v3)、PortAudio(MIT)、libsndfile(LGPL v2.1)、libsoxr(LGPL v2.1)、PyTorch(BSD)、librosa(ISC)、SciPy / NumPy(BSD)、Numba(BSD)、ONNX Runtime(MIT)を使用しています。各ライセンスの全文と、Apache License 2.0 が求める NOTICE は同梱の licenses フォルダをご覧ください。
  • 分離した音源の利用にあたっては、元の楽曲の著作権にご注意ください。権利者の許諾なく公開・配布することはできません。

10. 免責事項

  • 本製品は現状有姿(AS IS)で提供されます。明示・黙示を問わず、商品性、特定目的への適合性、第三者の権利を侵害しないことを含め、いかなる保証も行いません。
  • 本製品の使用または使用不能によって生じたいかなる損害(プロジェクトファイルやオーディオデータの消失・破損、機材の不具合、作業時間の損失、逸失利益などを含み、これらに限りません)についても、Tonecraft Tokyo は一切の責任を負いません。
  • すべての DAW・OS・ハードウェアの組み合わせでの動作は保証しません。
  • 本製品は予告なく仕様変更・提供終了する場合があります。
  • ご利用は自己責任でお願いします。重要な作業の前にはプロジェクトのバックアップを取ってください。