Tonecraft Tokyo — VST3 Plugin

TOMGRAFT

ユーザーマニュアル — v1.0.0

製品ページ — Tonecraft Tokyo ↗

TOMGRAFT は、タムだけを鳴らすためのドラム音源です。HIGH / MID / LOW の 3 本を
ひと組の音色ノブで同時に作り、3 本の違いは TUNE・DECAY・LEVEL・PAN の 4 本だけで付けます。
「3 本が同じ胴から切り出された音に聞こえる」ことを設計の中心に置いてあります。

サンプルは同梱していません。3 層の合成音だけで最初から鳴ります。手持ちの
ワンショットを足したいときは、波形の枠にドラッグ&ドロップしてください。

1. クイックスタート

  1. DAW でインストゥルメント・トラックに TOMGRAFT を挿します。
  2. 鍵盤の C1 / D1 / E1 を弾きます。LOW / MID / HIGH が 1 発ずつ鳴ります。
    画面の鍵盤はマウスでクリックしても鳴ります(クリックした高さがベロシティになります)。
  3. 上段のプリセットバーで 100 種のファクトリープリセットを切り替えて、
    近い音を探します。ジャンル名で 10 グループに分かれています。
  4. TOMS パネルで 3 本の TUNE と DECAY を決めます。音色そのものは
    COMMON パネルの BODY / SKIN / STICK で作ります。
  5. 鍵盤の C3〜B3 の 12 鍵を押すと、その鍵盤のフィルが 1 周だけ走ります。
    鍵盤を離せば止まります。
  6. フィルの中身を引き直したいときは RANDOM を押します。鍵盤ごとの長さや
    密度(=性格)は変わらず、音符だけが入れ替わります。

まず FLUX を少し上げてみてください。1 打ごとに音程・強さ・タイミングが
わずかにばらつき、同じ音の連打に聞こえなくなります。これが本機の中心の機能です。

2. 画面構成

プリセットバー(上段)

  • 左右の矢印か、名前をクリックして開く一覧から選びます。SAVE で
    今の音に名前を付けて保存、DEL で自分で保存したものを消せます
    (ファクトリーの 100 種は消えません)。
  • 選んだプリセットの名前はセッションに残ります。DAW を開き直しても、
    どれを元にした音なのかが分かります。
  • 読み込んだあとにノブを動かすと、名前の右に * が付きます。
    今出ている音がそのプリセットそのものではない、という印です。
    もう一度同じプリセットを読み直せば消えます。
  • サンプルを差し替えても * は付きません。プリセットはサンプルに
    手を触れないので、差し替えはプリセットへの変更ではないためです。
  • ロゴの右に、今動いているバージョンが出ます。

TOMS(左上)

  • 3 本のタムを 1 行ずつ、表の形で並べています。行の色は HIGH(ライム)/ MID(シアン)/
    LOW(ブルー)で、音程の高い順に上から並びます。
  • 1 行にあるのは TUNE / DECAY / LEVEL / PAN の 4 本だけです。
    ここに音色のノブは置いていません(3 本が同じ胴に聞こえなくなるため)。
  • 行の左の LED は、そのタムが鳴った瞬間に光ります。フィル経由のヒットでも光ります。
  • SOLO はモニタ用です。プリセットにもセッションにも保存されません。

COMMON — SHARED VOICE(左中)

  • 3 本に共通の音色です。BODY(胴の鳴り)、SKIN(皮のざらつき)、
    STICK(スティックの当たり)の 3 層を重ねて 1 打を作ります。
  • 層ごとに SOLO があります。まず 1 層だけ聞いて、それから混ぜると早く決まります。

OUTPUT(左下)

  • 信号の流れの順に 2 行で並んでいます。DRIVE →トランジェント→ EQ →ルーム→ OUT。
  • VEL CRV / VEL>TONE / VEL>SKIN は、ベロシティが音量以外の何に効くかを決めます。
    強く叩いたときだけ皮が鳴る、明るくなる、といった応答を作れます。

SAMPLE(右上)

  • 枠に .wav .aiff .flac .mp3 をドロップすると、合成音の上にそのサンプルが重なります。
  • FOLLOW TUNE を入れると、1 枚のサンプルが 3 本それぞれの音程で鳴ります。
  • AUTO-TUNE を入れておくと、読み込んだサンプルの音程を推定して 3 本の
    TUNE を合わせます。推定できなかったときは何も変えません。
  • EMBED を入れると、サンプルの中身がセッションに保存されます。
    別の PC でプロジェクトを開いても音が出ます。
  • プリセットを切り替えても、読み込んだサンプルはそのまま残ります。

SYMPATHY(右中)

  • 1 本を叩いたときに、叩いていない 2 本が共鳴します。実際のタムを並べたときに起きることです。
  • 下のメーターは「今どのタムが共鳴しているか」を色で示します。単なるレベル表示ではありません。
  • THRESH より小さい打では共鳴しません。弱いゴースト打で胴が鳴り続けるのを防ぎます。

FLUX(右下)

  • 大きいノブ 1 本で 8 つの軸(音程・減衰・音色・音量・アタック・パン・タイミング・皮)を
    まとめて揺らします。下の 8 本のバーが、今どの軸にどれだけ掛かっているかを示します。
  • バーをドラッグすると、その軸だけを自分で決められます(色が変わります)。
    RESET AXES TO MACRO で全部マクロ任せに戻ります。
  • REPEAT は、同じ小節を弾き直したときの振る舞いです。
    LOCKED は毎回同じ、EVOLVE は小節ごとに変わります。
    どちらもホストの再生位置から決まるので、同じ位置を再生すれば毎回同じ音になります。
    書き出しても、聞いていたとおりのものが出ます。
  • TIMING は STUDIO と LIVE の 2 つです。
    STUDIO は打点を前後に散らせるようホストへ遅延を申告します(ホストが自動で補正します)。
    リアルタイムで弾くときは LIVE にしてください(遅延ゼロで、揺れは後ろ側だけになります)。
  • SEED は揺れ方の種です。DICE で引き直せます。

WEAR(右下)

  • 曲が進むにつれてヘッドが緩んでいく、という遅い変化を加えます。
    SPAN は「何小節でひと回りするか」です。
  • 経過時間ではなく小節位置で決まるので、途中にシークしても同じ音になります。

鍵盤(最下段)

  • C1 / D1 / E1 … LOW / MID / HIGH を 1 打。
  • フィルの 12 鍵 … 初期状態では C3〜B3。鍵盤に番号が振ってあり、
    鳴っているフィルの名前が左の表示に出ます。
  • それ以外の鍵盤には何も割り当てていません(押しても鳴りません)。
  • 左側の PHRASE を切ると、フィルの 12 鍵は何も鳴らさなくなります。
  • QTZ はフィルの頭を拍に合わせます。SWING は裏を後ろへ、
    DYNAMICS は強弱の幅を決めます。
  • LOOP を入れると、鍵盤を押している間フィルがくり返します。
    離せばそこで止まります(鳴っている音は最後まで伸びます)。
  • ZONE はフィルの 12 鍵を置くオクターブを選びます(C0 / C2 / C3 / C4 / C5)。
    他の音源とノートがぶつかるときに動かしてください。タムの 3 鍵は動きません。
    画面の鍵盤は選んだ位置に合わせて表示範囲が変わります。
  • フィルを MIDI で取り出す … フィルの鍵盤をそのまま
    DAW のトラックへドラッグ
    してください。その鍵盤のフィルが書き出されます。
    左下のフィル名の枠からも掴めます(そちらは最後に鳴らしたフィルです)。
    SWING と DYNAMICS を反映したノートが出るので、聞いたとおりのものが手に入ります。
    掴めるところではカーソルが変わります。
  • フィルの鍵盤をなぞってもグリッサンドにはなりません(ドラッグは書き出しです)。
    タムの 3 鍵はなぞると持ち替わります。

3. パラメータ詳細

TUNE(タムごと)

そのタムの基本の高さです。3 本の間隔がそのままキットの性格になります。

  • 間隔を詰めると 1 台のタムを叩き分けているように、広げると大きさの違う 3 台に聞こえます。

DECAY(タムごと)

1 打がどれだけ伸びるか。大きいタムほど長くするのが自然な並びです。

LEVEL / PAN(タムごと)

3 本のバランスと左右の位置。LEVEL を下げ切ると -inf(無音)になります。
PAN は中央が原点で、左右へ振ると 3 本が並んでいるように聞こえます。

BODY — DETUNE / SHAPE / PITCH ENV / PITCH T / ATTACK / LEVEL

胴の鳴りです。DETUNE は 2 つの鳴りをずらして厚みを出します。
PITCH ENV と PITCH T は、打った直後に音程が落ちる量と速さです。
この 2 本が「叩いた感じ」をいちばん大きく変えます。

SKIN — TONE / ATTACK / DECAY / LEVEL

皮の擦れ・ざらつきです。TONE で明るさ、DECAY でざらつきの残り方が決まります。
上げすぎるとスネアに近づくので、胴が主役なら控えめにします。

STICK — SNAP / DECAY / LEVEL

スティックが当たる瞬間の音です。ごく短い成分ですが、これが無いと打点がぼやけます。

SYMPATHY — AMOUNT / THRESH / TONE / DECAY

叩いていない 2 本の共鳴です。AMOUNT を上げるとキット全体が一体に鳴り、
下げると 3 本が独立して聞こえます。共鳴音は共鳴しているタムの位置から鳴ります。

FLUX

1 打ごとのばらつきです。0 なら完全に同じ音が並びます。上げるほど人が叩いたような
ゆらぎが付きます。同じ再生位置なら毎回同じゆらぎになりますので、
書き出した音が聞いていたものと変わることはありません。

WEAR / SPAN

曲の進みに合わせた遅い変化です。長いフレーズの後半で、少しだけ音程が落ち、
余韻が短くなります。

OUTPUT の各ノブ

  • PITCH … 3 本まとめて移調します。
  • DRIVE … 頭を潰して密度を上げます。
  • TR-ATK / TR-SUS … 打点の立ち上がりと余韻を別々に増減します。
  • EQ TILT … 低域と高域を天秤のように入れ替えます。
  • PRES Hz / PRES dB … 抜けを足したい帯域を 1 か所持ち上げ(下げ)ます。
  • SIZE / PRE-DLY / ROOM … 部屋の大きさ、壁までの距離、混ぜる量。
  • OUT … 最終音量。

タムごとの個別出力

  • メイン出力にはこれまでどおり 3 本すべてが混ざって出ます。加えて
    LOW / MID / HIGH の個別出力があり、DAW 側で 1 本ずつ別のトラックへ
    送れます。叩いていないタムの共鳴は、その共鳴しているタムの側から出ます。
  • 個別出力には OUTPUT の各ノブ(DRIVE / TRANSIENT / EQ / ROOM / OUT)が
    かかりません。
    素の状態で出るので、DAW 側で好きに処理できます。
    プラグインの音そのままが欲しいときはメイン出力を使ってください。
  • 個別出力を使うときは、メインと二重にならないよう DAW 側でどちらかを切ります。
  • 個別出力の使い方は DAW ごとに違います(トラックの入力にプラグインの出力を指定する、
    といった操作になります)。詳しくはお使いの DAW のマニュアルをご覧ください。

4. 推奨設定

迷ったら、ファクトリープリセットのカテゴリから選んでください。10 グループ × 10 本です。

  • ROCK / METAL … 胴が前に出る、減衰の短いキット。バンドのトラックに。
  • FUNK / POP … 高めのチューニングと短い減衰。手数の多いフィルに。
  • JAZZ … 柔らかいスティックと長い余韻。SWING が入っています。
  • LOFI … 緩んだチューニングと暗い音。WEAR が深めです。
  • TECHNO / TRAP … 低く、打点が固い音。TRAP は余韻が長めです。
  • CINEMATIC … 大きな部屋と強い共鳴。1 打を聞かせたいとき。
  • INDUSTRIAL … 金属的な共鳴と強い歪み。

フィルを打ち込みで作る必要はありません。C3〜B3 を長さで選び、RANDOM で中身を引き直して、
気に入ったところで止めるのが速い使い方です。同じセッションを開き直せば同じフィルが出ます。

5. 動作環境

項目 内容
OS Windows 10 / 11 x64
形式 VST3(インストゥルメント)
ホスト VST3 に対応した DAW
レイテンシー TIMING が LIVE のときゼロ。STUDIO のときは
わずかな遅延をホストへ申告します(ホスト側で自動補正されます)
同梱サンプル なし(合成のみで鳴ります)
出力 ステレオのメイン出力 1 系統+ LOW / MID / HIGH の
ステレオ個別出力 3 系統

6. インストール・アンインストール

インストール

  1. ZIP を解凍します。
  2. TOMGRAFT.vst3 フォルダごと
    C:\Program Files\Common Files\VST3\ にコピーします。
  3. DAW を起動し、プラグインを再スキャンします。

アンインストール

C:\Program Files\Common Files\VST3\TOMGRAFT.vst3 を削除してください。
保存したユーザープリセットを消す場合は
%APPDATA%\Tomgraft\Presets も削除します。

7. トラブルシューティング

  • DAW にプラグインが出てこない
    • コピー先が Common Files\VST3 であることと、DAW のスキャン対象に
      そのフォルダが入っていることを確認してください。
  • 初回起動時に SmartScreen の警告が出る
    • コード署名をしていないため出ます。「詳細情報」→「実行」で続行できます。
  • C2〜B2 を弾いても鳴らない
    • 仕様です。1 打は C1 / D1 / E1、フィルは C3〜B3 に割り当てています。
  • フィルが鳴らない
    • 左下の PHRASE が切れていないか確認してください。
  • 書き出した音が聞いていたものと違う
    • REPEAT が FREE になっていないか確認してください。
      LOCKED と EVOLVE は再生位置から決まるため、同じ位置なら毎回同じです。
  • リアルタイムで弾くと遅れて感じる
    • TIMING を LIVE にしてください。
  • ドロップしたサンプルが鳴らない
    • SAMPLE の LEVEL が下がっていないか、他の層を SOLO していないか確認してください。
  • フィルをドラッグしても何も出てこない
    • フィルの鍵盤(番号の振ってある 12 鍵)からドラッグしてください。
      左下の枠から掴む場合は、先にフィルを 1 回鳴らす必要があります。

8. 注意事項

  • 本製品はサポートなし・現状渡しの無料配布(フリーウェア)です。
  • ソースコードは非公開です。
  • 本製品の著作権は Tonecraft Tokyo に帰属します。
  • 本製品の改変・リバースエンジニアリング・再配布・転売を禁止します(配布は Tonecraft Tokyo 公式サイトからお願いします)。
  • 商用・非商用を問わず無料でご利用いただけます。
  • 本製品は JUCE を使用しています。
  • 本製品は JetBrains Mono および Noto Sans JP を使用しています(SIL Open Font License 1.1)。

9. 免責事項

  • 本製品は現状有姿(AS IS)で提供されます。明示・黙示を問わず、商品性、特定目的への適合性、第三者の権利を侵害しないことを含め、いかなる保証も行いません。
  • 本製品の使用または使用不能によって生じたいかなる損害(プロジェクトファイルやオーディオデータの消失・破損、機材の不具合、作業時間の損失、逸失利益などを含み、これらに限りません)についても、Tonecraft Tokyo は一切の責任を負いません。
  • すべての DAW・OS・ハードウェアの組み合わせでの動作は保証しません。
  • 本製品は予告なく仕様変更・提供終了する場合があります。
  • ご利用は自己責任でお願いします。重要な作業の前にはプロジェクトのバックアップを取ってください。